169 調べる
『なんで、あんなに濁して説明をされたんですか? もし、全てを話せば夕闇さんだって‥‥』
「アイ‥‥。 ごめん、奈留ちゃんには何だか弱い自分をさらしたくなかったのかもね。 まぁ、十分さらしているかもしれないけど‥‥。 それにきっと話したとしても奈留ちゃんは止まらないよ」
『‥‥そうですね』
「だから、アイには奈留ちゃんを支えてあげてほしいな。 私には出来ないことだから。 ‥‥それじゃ、開発部屋に行こっか。 奈留ちゃんが待ってるから」
「‥‥はい」
◆◆◆◇◆◇
当然のことなのかもしれないが、やっぱり開発部屋に蕾ちゃんがいるのがしっくりくるというか、こんなこと思う場面じゃないだろうけど‥‥。
「それじゃあ、調べていくでござるよ」
「うん。 ‥‥って、そんなこと簡単に調べられるの?」
「少し前に相性診断装置を使ったと思うんでござるが、あれを少し改造したものを使うんでござる。 まぁ、精神と肉体の相性を調べるという意味ではあまり変わらないかもしれないでござるが‥‥」
「そ、そうなんだね」
まぁ、よくわからないけど、蕾ちゃんに任せておけば問題ないよね。
「じゃあ、いくでござるよ。 ‥‥‥‥結果が‥‥奈留ちゃん、思った以上に酷い状態かもしれないでござるよ。 もうかなり縮まっていると思うでござる。 奈留ちゃん、怖い夢とか見るようになってるでござるよね?」
「確かに今日、見たけど‥‥」
内容はそこまで覚えてはいないけどね。
「私も精神が不安定になりつつあるときには見ていたんでござるが‥‥今は大丈夫でも、後々奈留ちゃんも悪化していくでござる。 あれは耐えられる限度を超えてくるでござるから‥‥」
「でも、今は蕾ちゃん大丈夫なんだよね?」
「まぁ、先程は焼け石に水とは言ったでござるが、その辺りは発明品でなんとか‥‥。 でも、その発明品と同じものを奈留ちゃん用に作ることが出来ないんでござるよ。 私の場合は昔にコピーした何もなかった頃の自分を使って、悪化しても上書きしてたんでござるが‥‥」
つまりは蕾ちゃんでも耐えられなかったものにこれ以上失敗すれば、なるってことでいいのかな‥‥。
でも、あれぐらい我慢とお兄様のことを考えさえすればどうとでもなるような気がする。
「大丈夫、私はお兄様の為なら何でもするつもりだから」
「‥‥そうでござるか。 でも、もし辛くなっても自分を見失っては駄目だからね。 きちんと自分をコントロールして、感情に飲み込まれないように‥‥。 私から言えることはそれぐらい」
「うん、わかってる。 ありがとう、蕾ちゃん」
そして、そのあとの私はお兄様を助けるためにどうすればいいか改めて考えるのだった。




