168 聞きたいこと
「それでも、私はやるよ。 ごめんね、蕾ちゃん」
「そうでござるか‥‥それなら私からはもう止めないでござるよ」
呆れさせちゃったかな‥‥?
でも、私は蕾ちゃんのように命を削ってでも、お兄様を助けたいのだ。
「蕾ちゃん。 蕾ちゃんが経験したこともう少し詳しく聞かせてもらうことって出来ないかな? 偶然でも助けられたんなら何かヒントになるかもしれないし」
「詳しくって言われても‥‥その時の私はその人と関わらないようにしただけなんでござる。 それまでは一緒にいることが多かったんでござるが、その時初めて出会わないという選択をしたんでござる。 ‥‥つまりは諦めて距離をとったんでござるよ」
「え、そんな単純なことなの?」
「単純でござる。 まぁ、だからって奈留ちゃんがお兄さんと距離をとったところで意味はないでござろうが‥‥。 でも、きっと正しい道を通ればお兄さんを助けることはできるんじゃないかと思うんでござる」
同じ家に住んでいる時点で会わないなんてことは出来ないだろうからね。
実践は出来そうにないな‥‥。
つまりはやっぱり何処か行動を変えないといけないってことなのか‥‥。
「ありがとう、蕾ちゃん」
蕾ちゃんの表情的にあまり話したくはなかったことかもしれない。 蕾ちゃんにとってはやっぱり嫌な思い出だろうから。
でも、それを話してくれたのはきっと優しさからだろうな‥‥。
「私はもう過去にも未来にも奈留ちゃんに付いていけないし、アイや小乃羽ちゃんのようにそばで助けてあげることは出来ないから。 せめてでござるよ」
蕾ちゃんはもう倒れることを受け入れているのかな‥‥。
「‥‥蕾ちゃん。 倒れるのを遅らせたり、軽減したりすることはできないの?」
やっぱり、蕾ちゃんともっと一緒にいたい。
蕾ちゃんなら、そんなときでも発明品でなんとかするとか、やりそうなのに‥‥。
「もう、限界までやってるんでござるよ。 精神の崩壊を抑える発明品とか、まぁ焼け石に水という感じでござるけどね」
「そ、そうなんだ‥‥」
‥‥一回目に倒れたときに蕾ちゃんの頭に着けた発明品がその発明品だったのかな?
「それよりも奈留ちゃん、私は今、奈留ちゃんの進行度がどれほどが知る必要があるので、少し開発部屋にいってもらっていいでござるか?」
「う、うん、わかった‥‥」
そうだよね、私だって何回も使ってるんだから例外じゃないよね。
私もこれからまた何回も使えば、いつかは目覚めなくなるのか‥‥。
そう思うと少しだけ恐怖で身震いした。
その後、私は素直に寝室から開発部屋に行った。




