58 しかし兄は変わらない
兄さん達のデート当日、私はいつも通り、兄さんを起こす。
デート当日ぐらい、早めに起きようとかないのかこの兄は。
「兄さん、起きて。 今日は小乃羽ちゃんとデートでしょ」
揺すって何時もならすぐに起きるのだが、今日は目覚める気配がない。
兄さん、さては今日が楽しみでなかなか寝られなかったんだな。
なんだか遠足前日の子供みたいだね兄さん♪
しかし、このまま起きないと困るわけで、何かすぐ起きる方法を考えないとな‥‥。
叩いたりするのはなんだか嫌なんだよねぇ。
そういえば、小学生の時はまだ、小さかったからよく兄さんにダイブとかしてたけど、最近はしてないな。
でもあのときは体が小さかったからできていたけど今はなぁ。
しかし、なんだか久々にやってみたくなってきたな!
「兄さん、早く起きないとベッドに飛び込んじゃうぞ~!」
「‥‥え? 奈留が俺のベッドに!? いいぞ、来い奈留! 俺が全力で抱き締めてあげるから!」
「よし、起きましたね。 朝食出来ましたから着替えたら来てくださいね」
「え~無反応‥‥」
そんな簡単に起きるなら、はじめから起きてほしいものです!
あと彼女出来たのに、前と同じってなんなんだ一体‥‥。
◇◆◇◆◇◆
兄さんが出る前に早めに家を出て、磨北くんと合流することになっているので、特にもうすることもないし、私は先に行くことにした。
「じゃあ、兄さん。 先に行くから」
「な、奈留。 もしもの時はすぐに連絡するんだぞ? まぁ、すぐに尾行に飽きて家に帰るかもしれないが、一応な。 世の中危ないこともあるからな」
そうだね、一人でいるときなんか危ないもんね。
でも、磨北くんいるし大丈夫だと思うけど。
「大丈夫だよ、尾行に飽きたら磨北くんと少し遊んでから帰るから」
遊ぶのも目的のひとつでもあるしね。
「いや、それが大丈夫じゃ‥‥」
「行ってきます!」
「大丈夫じゃないからーー!!」
兄さんが、何か叫んでいたように聞こえたが、あまりよく聞こえなかった。
◇◆◇◆◇◆
磨北くんとの集合場所である、図書館の前に行くと、磨北くんはもう来ているようだった。
「磨北くん、早いね~。 待たせちゃったかな」
「いや、僕も来たところだよ。 それに待つのも好きだから気にしなくていいよ」
凄いやさしいなぁ、これが人に好かれる人間というやつなのかな。
祈実さんといい、さすが磨北姉弟。
「そっか。 じゃあ、兄さんも、もうすぐ出る頃だと思うから行こっか」
兄さん達は、この前の公園で待ち合わせだそうなので、早めに影からこっそり見守ることになる。
何もないけど今からドキドキです!




