144 私の覚悟
「え、磨北さんが行方不明!?」
その事は磨北さんと全く関わりのないはずの、アイちゃんから聞かされた。
『えぇ、家にも帰ってなくて、携帯なども繋がらないそうです』
「そんな‥‥‥‥って、どうしてアイちゃんがそんなこと知ってるの?」
『色んな所にハッキング‥‥‥‥いえ、情報収集をしていて知り得たんです』
今、スッゴいはっきりとハッキングって言ったね。
‥‥いやいや! 今はそういうことじゃなくて!
「アイちゃんは磨北さんの場所知ってたりしないの!?」
まだあの時にことを謝れていないのだ。
そんな状態でもし、磨北さんに何かあったら私どうしたら‥‥。
情報収集してるってことは、アイちゃんなら何か手がかりを掴んでいるかもしれないよね‥‥!
『いえ、流石に行方不明になった後では、私としても探しようがありませんよ』
「そ、そうだよね‥‥」
もしかして、私があんなきついこと言ったから‥‥。
遠回りをした時にぐだぐだになったとしても謝っていればよかったなんて、思ったって意味ないのにどうしてもそう思ってしまう。
あのときはまた普通に出会えるだろうと思っていたから‥‥。
『じゃあ、私の方で一度探してみるのことにします』
「私も、ちょっと探してみる! アイちゃんは仕事忙しかったらそっち優先でもいいんだよ?」
『いえ、必要なことだと思いますから。 それに私はAIですから、心配はご無用です』
その後、私は携帯を使って、磨北さんに連絡をしようと試みたり、磨北さんの行きそうな色んな場所を探したりしたが、結局磨北さんは見つからなかった。
◆◇◆◇◆◇
『こちらも色んな手を使って探してみたのですが、磨北さんの足取りすら掴めませんでした。 これ以上探しても、成果ないかもしれません』
「‥‥そっか」
色んな人から聞いてわかったことだが、私が磨北さんをお墓で見つけた次の日にいなくなったそうだ。
もし、あの時に私が何か話しかけていれば、こんなことにはならなかったかもしれないし、その時に謝っていればまた仲良く話せてたかも‥‥。
いや、そんなことを考えてしまったら、そもそもお兄様が生きていたらきっとこんなことにならずに済んだだろう‥‥。
『今日も、探しますか?』
「いや、もう大丈夫。 ‥‥‥‥ねぇ、アイちゃん」
『どうしました?』
私は探している最中、もうひとつのことをずっと考えていた。
周りがどんどんと悪い方へ変わっていて、もしそれが‥‥私一人の命でどうにかなるのなら、私はきっと自分の命を投げ出してでも、戻したい。
どうしても私は周りの皆が笑っていてほしいのだ。
「私、覚悟決めたよ」




