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転生して前世の俺の妹になりました  作者: ニャンネコ大尉
あったかもしれない、そんな世界で───
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143 何のために

後半は祈実さん視点です!

 お兄様と磨北まきたさんが付き合いだした時、私は何だか家に帰りづらくなり帰らずに遠回りをしたものだけど、今日の私はまた別の理由で遠回りをしていた。


 お兄様のいない家が苦痛でしかなかったからだ。

 一人があんなに静かなものだなんて感じたことがなかった。


 正直、あの家にはお兄様と過ごした思い出が多過ぎるのだ。

 何処を見たってお兄様のことを思い出して悲しくなるし、でもそれは大切な思い出だから忘れたくもないし‥‥。


 寝ぼけていて、お兄様の朝食を作り出したりした時は、流石に自分でも何やってるんだろうと思ったけど‥‥。



 そして、その遠回りをしている道は、特に意図して通っている訳ではないのだが、あの時遠回りをした時の道と全く同じ道だった。


「そういえば、あの時は磨北まきたさんに出会ったっけ?」


 お墓のところにいて‥‥流石に今日はいるはずないよね。



 そう思いながら、お墓の前を通ろうとした時、そこに磨北まきたさんがいたことに気付いて、私の方がドキッとしてしまった。


「どうしよう‥‥‥‥行った方がいい‥‥かな?」


 まさか出会うとは思ってなかったし、きちんと謝りたいとは考えていたが、まだ私には覚悟というものが出来ていなかった。

 それにもしかしたらあんなキツく言ってしまったので、話を聞いてもらえるかすらわからず、怖くなってしまったからだ。


 今、話しかけて失敗するのなら、後日ちゃんと気持ちを作って謝る方がいいんじゃないかと私は最終的にそう結論付けた。


 それなら、今は気付かれずに通りすぎた方がいいよね‥‥あ、今一瞬、目が合ったような‥‥気のせいかな?


 私はそのままもう少し遠回りをしてから帰ることになった。




 ◆◇◆◇◆◇




奈留なるちゃん、行っちゃった‥‥」


 話しかけてくれるんじゃないか、何て淡い期待を抱いたが、人生そんな自分の都合のいいようには出来ていないようだ。

 いや、人生が自分の都合のいいようにいかないのは昔からだったけど‥‥。


 少し前の私ならこっちから話しかけたかもしれない、でも‥‥。


『私に、関わらないでください』


 奈留なるちゃんのあの言葉で私は自分から話しかけるのが怖くなった。

 もしかしたら、また前みたいに普通に話してくれるんじゃないか、そう思ったりもしたが、それを確かめる度胸は私にはない。


奈留なるちゃんのことも‥‥そして、夕闇ゆうやみくんが亡くなったのも、しんくんが亡くなったのも、きっと私がダメダメだから‥‥」


 しんくんの時に、大切な人をもう作らないって決めておけばよかった‥‥。

 それなら、もう悲しまなくて済んだかもしれないのに‥‥。



 私の周りにいることで、皆が不幸になるなら‥‥私なんていない方がよかったんだ‥‥。





 本当に‥‥私は何のために生きているんだろう‥‥。


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