表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/780

56 行こうよ!

 聞いた話によると、兄さんと小乃羽このはちゃんが、今週の休日に初めてのデートをするという情報が密かに私の耳に入った。

 ‥‥というより、兄さんが話してくれた。


 もっと密かに行おうとしていたのだが、もしかしたらもう兄さんにはバレているのかもしれない。

 それに、私も兄さんに隠し通せる自信がない。

 それでも、尾行はしなければならない!

 私はそんな、意味のわからない使命感に駆られていた。


「そんなわけで一緒に尾行しない?」


「どんなわけよ! するわけないでしょ。 そもそも奈留なるは何でそんなにいきたいのよ」


 そりゃはじめの決意で決めた通り、モテている前世の私、尚且つ、彼女のいる前世の私を見て自分も楽しい。

 それこそが私がはじめに決めたことだった。


 つまりはこうだ‥‥。

 私が見ないと私が楽しめないじゃないか!

 見てこそはじめて実感するというものですよ。


 まぁしかし、それをこの場で言えるわけがないので‥‥。


「特に意味なんてないよ! まぁでも少し心配ってだけかな」


 それも本心で、兄さんが本当にちゃんとしたデートを出来るのかっていうことが、とてつもなく気になる。

 落ち着いた感じだけど、たぶん付き合うの初めてだと思うし。


「それはなんとも言えないけど。 あのお兄さんだしきっと大丈夫だと思うよ」


「うん、そうだと思うけどね」


「じゃあいいじゃない。 家で待って、帰ってきたら話を聞けば」


「ぐっ、正論過ぎてなにも言えない。 すみません! 嘘ついてました、自分が行きたいだけです!」


「はぁ、まぁ頑張りなさいよ。 どうせ奈留なるのことだから前日辺りにお兄さんに尾行するって言いそうだけど」


 わ、私の性格をよくご存じで‥‥。


 う~んでもそうかぁ、やっぱり由南ゆなちゃんは来てくれないかぁ。

 でも、一人じゃ少し心細いんだよね。

 他に一緒に来てくれそうな人は‥‥あ!




 ◇◆◇◆◇◆




「───と、いうわけなんだけど、どうかな?」


 私が目をつけたのは磨北まきたくん。

 尾行すると共に、親睦を深めるために、遊ぶという一石二鳥の案を思い付いた訳である。


「お兄さん、彼女さんいたんだ」


「うん、この前出来たばかりなんだ。 今回が初デートなんだよ。 だから私も気になっちゃって」


 まぁ磨北まきたくんは興味あまりないかもだし、無理かなぁ。


「わかった、いいよ」


 あれ? 自分で、誘っておいてあれだけど、無理だと思ってた。

 でも、嬉しいな♪


「本当に!? ありがとう!」


 こうして、当日に、磨北まきたくんと二人で尾行をすることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ