138 お叱りを受ける
地面に落ちている腕時計を見て、私はひとつの結論に至った。
私、もしかしてまたこの腕時計を使って‥‥。
だから、自殺したはずなのにその前に戻ってきたんだ。
でも、おかしい。 私は前と違って腕時計を触ったりしていた訳じゃなかったのに‥‥。
それに確か起動には条件があるって言ってたし‥‥。
『夕闇さん、どうしまし‥‥え? 夕闇さん、それ‥‥』
あ、これってかなり不味い状況じゃないかな?
蕾ちゃんの大切なものをまた持ち出したみたいなことに‥‥!
「あのね! アイちゃん、私が持ち出した訳じゃなくてね!」
『‥‥わかっていること、話してくれますか?』
「は、はい‥‥」
そして、私は現時点で私の身に起こったことをアイちゃんに話すことになった。
◆◇◆◇◆◇
『夕闇さんは馬鹿なんですね』
全部を話す上で、自分が自殺をしようとしたことも話すことになりアイちゃんからかなりのお叱りを受けていた。
「‥‥本当に、その通りだと思います。 ごめんなさい」
『はぁ、もういいですよ。 今その気はもうないみたいですし、好きな人が亡くなったら、悲しくて普段じゃ考えられないことをしそうですもんね、夕闇さんは』
「返す言葉もありません‥‥」
『それより今はどうやって腕時計が使われたのかを調べる必要がありそうですね』
「そうだね。 ‥‥あ、そういえば、これで腕時計が四つになったってことなのかな?」
『‥‥確認してみましょう』
私達はそろって蕾ちゃんの開発部屋に行った。
◆◇◆◇◆◇
『一つ、ありませんね‥‥』
「三つだけだね‥‥何でだろ?」
元々あった二つが残っていて、以前私が使った一つがなかった。
『わかりません。 それと、今さっき分身に調べさせましたが、夕闇さんの側にあった腕時計、一部が破損してるみたいでもう使えないみたいです』
「‥‥え、も、もしかして私壊しちゃったかな?」
不味い‥‥もしかしたら、さっきのお叱り以上のお叱りをアイちゃんに受けるかもしれない‥‥。
『いえ、そういう感じではなさそうですが‥‥。 また後で、もう少し詳しく調べてみますね』
「う、うん‥‥」
良かった‥‥怒られなかった。
でも、結局何故腕時計があったのかや、腕時計の一つないのかは分からなかったが、こうしてあったこともなかったことに出来るなんて、本当に蕾ちゃんが作った、この腕時計は本当に凄い‥‥‥‥。
その時、私はとある考えを思い付いてしまった。
‥‥あれ? この腕時計を使えば、もしかして‥‥事故を回避させて、お兄様を死なないようにすることも可能なんじゃないかな‥‥?




