132 自主的に
「奈留ちゃん、ありがとね。 自己満足に付き合ってもらっちゃって」
すぐに猫耳を外した私は、磨北さんに猫耳を返した。
「いえ、済んだことですから。 というか、もう思い出したくない‥‥」
恥ずかしすぎて、辛い‥‥。
猫耳を着けているとき、久々にお兄様に頭を撫でてもらったのは、大変嬉しくはありましたけど‥‥。
「また次、作ってきたら着てね」
「‥‥つ、次があるんですか」
お兄様と付き合ってこのままいけば、この磨北さんの趣味に一生付き合わさせることになるのか‥‥やっぱり今からでも別れさせるように動いた方がいいのではないのか‥‥と一瞬思ってしまうほどだった。
「奈留ちゃんが気に入ってくれるものを作れるように頑張るね!」
「は、はい‥‥」
まぁ、今度からは着たくないものは着たくないと言おう、うん。
「磨北さん、この猫耳貰ってもいいんですか!」
「いいよ~♪」
小乃羽ちゃんは気に入ったみたい‥‥。
というか、本当に仕事のことを忘れ去ってるね、小乃羽ちゃん。
◆◇◆◇◆◇
その後は四人で、世間話をしたり、トランプゲームをしたりしていたのだが、お兄様達の邪魔をしていないのか、二人きりにした方が良いのではないかと思ったりもして、私としては少し気を使う時間だった。
まぁ、結局磨北さんが楽しそうだったので、四人のままで色々としたけど。
「次は何しよう?」
「‥‥あ、でもそろそろご飯にしたらどうだ?」
「もうそんな時間なんだね‥‥じゃあ、夕闇くんよろしく」
「俺か。 いやまぁ、いいがな」
一瞬、自分が行こうかと思ったが、磨北さんはお兄様の料理が食べたいのかもと思ってしまい、自分から言うことはなかった。
「本当に夕闇くんの料理の腕前ってプロ級だもんね。 あれは凄いよ‥‥」
「そうですね。 しかも別に作ることを苦とも思っていないので、疲れたとかの理由で、代わりに料理を作ってくれなんて全然言われてませんよ」
お兄様の負担を減らそうと思ってやっていたとしても、特別意味はないのかもしれない。
やらなかったとしても、結果的にお兄様は疲れもなく全てをやってしまわれるから。
「奈留ちゃんもだけど、自主的に自分からやろうとすることが凄いよ。 私なんて疲れているときはやっぱり面倒だと感じてしまうし」
確かに私も家事は苦ではないから特に言われずともやるけど‥‥。
でも、私はお兄様に好かれたいと思ってやっているので、お兄様がいなければもしかしたら‥‥いや、流石にそれはないか。
でも、お兄様の姿を見て、自分もやらなきゃって思うんだよね。




