131 似合うと思って
磨北さんが家に来てからやはりというかなんというか‥‥磨北さんは小乃羽ちゃんと楽しそうにお話するほどまでに仲良くなっていた。
本当にもう誰とでも仲良くなれちゃう人だよね、磨北さんって。
きっかけはやはりお菓子だろうか‥‥何だか私と蕾ちゃんで磨北さんの家に行った時みたいだね。
そういえば、蕾ちゃんとすぐ仲良くなってたような‥‥。
「今日、奈留お姉ちゃんの家に来て良かったです! 磨北さんのお菓子美味しいモグモグ‥‥」
あの‥‥小乃羽ちゃん? あなた仕事をするために家に来たこともう忘れかけてませんか?
初めの集中は何処にいったの!
‥‥これはアイちゃんとさらに喧嘩しちゃうこともあるかもしれないね。
だからといって今の楽しそうな小乃羽ちゃんを止めるわけには行かないしね。
「‥‥あ、そういえばね。 お菓子の他にももうひとつ持ってきたものがあってね!」
「そうなんですか?」
お菓子じゃないなら‥‥手作り料理とか? いや、流石にないか。
「じゃん! 猫耳! 絶対に奈留ちゃんに似合うと思って作ったんだ~」
「‥‥え、なんですかその絶対に黒歴史になりそうなものは! ちょ! 着けようとしないでください!」
猫耳なんて、仲の良い後輩の小乃羽ちゃんとお兄様の前では絶対に着けなくない。 私の尊厳に関わる。
「夕闇くんのも作っておいたけど、着ける?」
「いや、遠慮しとく」
「そっか‥‥じゃあ、奈留にゃん‥‥ね?」
お兄様に断られたからって、すぐに私に切り替えるのやめてください! というか、全然粘ってなかったんですが‥‥!
「じゃあ、まずは磨北さんが着けてみてくださいよ」
「ん、わかった。 よし、着けたよ?」
この人、猫耳着けることに抵抗ないのか!
‥‥いや、作った本人だし、そういうことも考えておけばよかった。
「あの‥‥えっとですね。 私にあまりつけるメリットがないといいますか‥‥」
「えー、せっかく私も小乃羽ちゃんも着けたのに‥‥」
磨北さんはそりゃ恥ずかしくないでし‥‥‥‥小乃羽ちゃんいつの間に着けてたの!?
というか、何個あるんだ猫耳‥‥。
「奈留お姉ちゃん、どうですか? あ、にゃん?」
「いや、別に言い直さなくていいよ。 うん、小乃羽ちゃん可愛いよ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
小乃羽ちゃんって結構流されやすいんだね‥‥いや、小乃羽ちゃんは似合うから着けててもいいと思うけど、私は‥‥。
「奈留、一度だけ着けてくれないか? 祈実が暴走しそうだ。 あ、あと個人的に俺も見たいしな」
「ぐぬ‥‥わかりました、つけますよ」
その後、着けるだけではなく写真を撮られたりと、完全に黒歴史になるようなものが残ることが確定してしまった。




