129 喧嘩して‥‥
とある休日の朝のこと。
私が何時ものように起きて、すぐ蕾ちゃんの家に行くために支度をしていた時、小乃羽ちゃんから連絡がきた。
電話に出ると何時ものような元気な声の小乃羽ちゃん‥‥ではなく、少し気分が落ち込んでいるような声だった。
『もしもし‥‥弱者です‥‥』
「何があったの、小乃羽ちゃん!?」
開口一番、凄いネガティブ!!
中々ここまで、落ち込んでいるのは珍しい‥‥。
『実は‥‥アイちゃんと喧嘩しちゃいまして‥‥』
ちょくちょくあるよね、小乃羽ちゃんとアイちゃんが喧嘩すること。 しかも別にそんな怒ることじゃないことでも言い争ったりするし‥‥。
しかし、二人ともすぐに仲直りするんだよね‥‥私が何か言うまでもなく。
「喧嘩っていうのはどうして?」
『初めは仕事のことで言い合ってたんですよ。 その時点では特にいつも通りの言い争いだったんですが、途中からただの悪口を言ってきたんです!』
あぁ、アイちゃんが言い過ぎたんだね。
『まぁ‥‥私もアイちゃんに謝らないといけないこといっぱい言っちゃいましたが‥‥』
あぁ、二人とも言い過ぎだね、うん。
「そ、そうなんだ‥‥えっとじゃあ今日電話をかけてきたのは仲直りしたいっていう相談でいいのかな?」
そこまで間に入って仲裁するのは得意ではないかもだけど、私頑張るよ!
『いえ、今は顔も見たくないです。 今日はお願いがありまして、奈留お姉ちゃんの家で作業させてもらえないかと思いまして‥‥。 あ、作業に必要なものは今のところパソコンだけなので汚したりはしないです』
「そ、そういうことね。 一応お兄様に確認してみるべきなんだろうけど、今日はたぶん大丈夫だろうから、来てもいいよ?」
私的には仲直りしてほしいところではあるけど‥‥。
でも、まぁ少し離れて落ち着くことも大事かな。
『ありがとうございます!』
「じゃあ、待ってるよ‥‥あ、そういえば、何で初めに弱者です、なんて言ったの?」
『それは‥‥アイちゃんに口喧嘩でボコボコにされたので‥‥』
それを引きずってたってことですか。
相手がアイちゃんだし、仕方がないような‥‥。
『じゃ、じゃあよろしくお願いします!────』
あまり聞いてはいけないことだったかもしれないね‥‥。
急いで切られてしまった。
‥‥あ、そういえば、蕾ちゃんの身の回りのことはどうしよう。
そんなことを考えていると、蕾ちゃんの携帯からアイちゃんが書いたメールが届いていて、今日は私が全てするので小乃羽のことをお願いします‥‥といった感じで書かれていた。
それにしても、さっき電話がきたばかりなのに、なんでアイちゃんは小乃羽ちゃんが私の家に来ることを知って‥‥ま、いっか。




