128 隠密行動
「ふむぅ‥‥私はこれから趣味を人間観察にしようと思います。 尾行がこんなにドキドキワクワクとは。 探偵ごっこをしているようですね。 探偵もこんな感じなんでしょうか‥‥」
「私はこれが探偵とかじゃなく、駄目な方向に進んでいるんじゃないかと不安になるよ‥‥。 犯罪はやめてね」
流石にないとは思うけど、警察の厄介にだけはならないことを祈ります。
「それはないですよ、流石に。 それにしても、磨北さんが凄く笑顔で楽しそうに話していますね」
「そうだねー‥‥」
二人がお付き合いすることを納得したとはいえ、まだこういう光景を見ると胸がモヤモヤとしてしまう。
やっぱり小乃羽ちゃんの提案に乗らずに帰っていればよかった。
「会話、気になりますね!」
「‥‥え?」
「近づきましょう!」
「ちょちょちょっと待って! 小乃羽ちゃん待って! バレちゃうから!」
蕾ちゃんとの尾行時は発明品があって、バレなかったけど、今回は何もないのでバレる危険性があるのだ。
「大丈夫ですよ、お姉ちゃん」
「え‥‥あ、もしかして小乃羽ちゃんも発明品を‥‥」
「私、隠密行動は得意な方なので」
あなたは忍者かなにかなのかな?
結局発明品はないようだ。
そもそも、それだと私なにもないから、私だけ見つかってしまうのでは‥‥。
「そもそも何で会話が気になるのさ」
「う~ん、深い理由はないですけど、恋人同士が話す会話とか気になりますし‥‥あ、ただ単純に探偵みたいなことをしたいだけなのかもしれないです!」
まぁ、小乃羽ちゃんからしたら先輩の兄だし普通は興味ないだろうけど、それ理由なら納得‥‥。
「そ、そっか。 じゃあ、私は待ってるよ」
正直、話している内容は世間話か少し先のデートの話だろうし、それほど気になる内容ではないだろう。
「わかりました。 待っていてください!」
あ、本当に行っちゃうんだね‥‥。
その後、すぐに戻ってきた小乃羽ちゃんは凄く笑顔だった。
何か聞けたのだろうか。
「速効でお兄さんに見つかってしまいました!」
「隠密が得意ってなんだったの!?」
しかも、見つかってなんでそんなに笑顔なの!
「あ、でも気付いていないふりをしてくださって‥‥あと磨北さんの方には気付かれてせん」
それは磨北さんが鈍いのか、お兄様が鋭いのか‥‥。
「じゃあ、磨北さんにも気付かれちゃう前に帰ろっか」
「そうですね。 今更ですがお邪魔するのは良くないですし、今日は楽しめましたし!」
その後、蕾ちゃんの家に帰るとアイちゃんからお礼を言われた。




