127 のんびりとした時間
「カフェ無かったね。 レストランはあったけど」
「そのレストランもファミリーと名のつくレストランですけどね」
何時もは通らないような道を通ったり、最終手段として携帯で検索をかけてみたりもしたのだが、思うような落ち着いた場所はなかった。
「まぁ、お財布には優しいよね」
「そうですね。 ‥‥落ち着いたとはまた違うかもしれませんが、学生がファミレスっていうのは合ってますからね。 ドリンクバーとかもありますし」
「料理も美味しいしね」
でも、まぁ普段行ったことのないような場所に行ってみたかったので、少し残念ではあったけど‥‥。
そして、ファミレスに入り、席について少しすると小乃羽ちゃんが口を開いた。
「そういえば、私あのお話聞きたかったんです!」
「あのお話?」
「お姉ちゃんのお兄さんがお付き合いしたってお話です! やっぱりお付き合いしてどういう感じなのか気になっちゃって」
あぁ、一応小乃羽ちゃんには付き合ったってことは話したけど、これ以上は特に言わなくてもいいかと思って、そういう恋ばなみたいな話はしなかったもんね。
やっぱり小乃羽ちゃんも恋愛に興味があるのかな?
う~ん、でもなぁ‥‥。
「お兄様と磨北さんってあんまり恋愛してるように見えないんだよね‥‥。 なんていうか‥‥精神年齢が高いからなのかな?」
「じゃあ、夫婦みたいな感じですか?」
「あはは‥‥」
確かにそっちの方がお兄様達にはあっているような気がする。
本当に妙に落ち着いてるから、二人とも。
「でも、少し先になるらしいけど、デートで桜見に行くんだって」
「へぇ、それは‥‥夫婦ですね」
「そうかもね」
高校生のデートではないよね、うん。
「でも、風情があっていいですね。 陸さんらしいです。 ‥‥っと、そろそろ注文しましょうか」
「そうだね」
その後、ファミレスにて小乃羽ちゃんと、のんびりとした時間を過ごした。
◆◇◆◇◆◇
ファミレスで過ごした私と小乃羽ちゃんは、結果的にその他の場所に行くことはなく、いろんな話をした。
そしてその帰り道、突然小乃羽ちゃんが声を出さずに私の肩をトントンと叩いた後、とある方向を指差した。
そこにはお兄様と磨北さんの姿が‥‥。
手を繋いでいるとかそういうわけではないけど、何だか凄く恋人って雰囲気が出ているね‥‥。
「ちょっと尾行してみませんか?」
「え、尾行?」
流石にそれは‥‥と思ったが、付き合う前にはやってたのに今は駄目とは言えず、私達はお兄様達の後をついていくことにした。




