126 アイちゃんからお願い
蕾ちゃんの家で蕾ちゃんの様子を見ていると、アイちゃんが部屋に入ってきた。
『夕闇さん。 少しお願いがあるんですがいいですか?』
「ん? 珍しいね、アイちゃんがお願いなんて」
今は特別何かしなければいけないわけではないので、無理難題でなければ断らないけど‥‥。
『そのお願いなんですが、少し小乃羽を外に連れ出してもらえないかと思いまして。 最近、根を詰めすぎていて凄く不安になるんですよね。 ちょっとは外の空気を吸ってほしいんです』
「え、でも、この前一回家に帰ったって言ってなかったっけ?」
『帰ったんですけど、起きたらまたすぐ来ちゃって、絶対に休んでないんですよ』
あぁ、なるほど。 それは心配になるよね。
「それは少しは気分転換しないとダメかもね。 ‥‥それにしても、アイちゃんは本当に小乃羽ちゃん想いだね」
『べ、別に普通ですよ、普通。 それではお願いできますか? マスターの方は私が見ていますので』
「うん、わかった。 まかせて!」
そういえば、自分も誰かと外に出るのは久々かも。
こうなったら、自分も目一杯楽しまないとね!
こうして、私は小乃羽ちゃんと特に目的もなく外に出ることになった。
◆◇◆◇◆◇
「奈留お姉ちゃんが誘ってくれるなんて、何だか嬉しいです!」
本当はアイちゃんなんだけど、アイちゃんの方からお願いしたことを言わないでほしいと直前に言われてしまったからね。
「それなら良かったよ。 小乃羽ちゃん最近忙しそうにしてるから気分転換にね。 でも、ちゃんと休息はとってる?」
「‥‥いえ、あまり。 アイちゃんが頑張っているところを見ると、自分も頑張らないとと思ってしまうんですよね」
‥‥アイちゃん、小乃羽ちゃんが休まない理由があなたにありました!
そりゃ、アイちゃんはAIだからいくらでも仕事出来るから‥‥それを見ちゃったら、自分も休んでいられないなと思うんだね。
「アイちゃんはずっと作業しててもあまり問題ないけど、小乃羽ちゃんはまだ中学二年生なんだし、ちゃんと寝たり休憩をとったりしないとダメだよ?」
「今後、気を付けます‥‥。 それより、これから何処に行くとかは決まってるんですか?」
「ううん、決まってないよ。 まぁ、ゆったり出来る場所があればそこにするけど‥‥カフェとか落ち着いたレストランとか?」
「あぁ、何か大人の休日な感じがしますね。 賛成です! でも、この辺りの近くにあるんですかね?」
「ありそうな気はするけど‥‥。 少し歩いてみてないならまたその時に決めよう」
「そうですね」
こう、時間に縛られず、ぶらっと歩くだけでも楽しいからね。




