118 いつもと違う感じがして‥‥
二人がリビングに入って少し経つが、何だか二人の様子がいつもと違うように見える。
もう少しいつもなら二人で話したりよくするのに、今は何処と無くぎこちない。
森田先輩がいないっていうのも勉強会だったらわかるけど、勉強をし始めようとはしてないし、それも変なんだよね。
‥‥というか、二人が私に気を使っているようなそんな雰囲気があるかもと見ていて思う。
初めて家に磨北さんが来たなら何だかわからなくもないが、かなり来ていて気を使うというのはよく分からない。 しかもお兄様も磨北さんと同じような感じだし‥‥。
「あ、今日は私が晩御飯作りますね。 せっかく早く帰ってきましたし」
「つ、疲れてないのか?」
「はい、お兄様が帰ってくる前まで、休んでいましたので大丈夫です」
そういって私はお兄様達にご飯を作るために、キッチンへ行った。
材料などを確認し、早速始めようかと思っていると、キッチンに磨北さんが入ってきた。
「奈留ちゃん、私も手伝うよ」
「え? いえ、磨北さんはお兄様と待っていただければ‥‥」
「今日は料理を手伝いたい気分なんだ! そう、それ以外にない気分!」
「しかし‥‥」
「お願い、奈留ちゃん!」
ここまで強くお願いされたら、断ることは私には出来ない。
「わ、わかりました」
「ありがとう♪」
でも、ここまで強くお願いするのは理由があったりするのかな?
お兄様と二人きりがいやとか? ‥‥いや、流石にないな、うん。
それなら家自体にまず来ないだろうから。
こうして、磨北さんと料理をすることになったのだが、お菓子作りが得意な磨北さんは、料理は駄目というわけもなく、テキパキと作業してくれていた。
「お料理はよくされるんですか?」
「いや、まだ勉強中だよ。 正直、料理上手い人と比べちゃうとね‥‥もう、私食べる専門でいいかもって思えてくるけど‥‥」
道具の扱いも特に問題なさそうだけど‥‥まぁ、私だってお兄様と比べてしまうと、自分が作っているのが恥ずかしくなるレベルですが‥‥相手がお兄様なので仕方ないですし。
その後は特に磨北さんと話すことなく、無言で料理を作っていたのだが、ふと帰ってきたときからのお兄様と磨北さんの不自然さが気になった。
二人一緒だと聞きにくいが、今は磨北さん一人だから聞きやすいかと思い、聞いてみることにした。
「そういえば、何だか来たときからお兄様と磨北さんがいつもとは違う感じがしたんですけど、何かあったんですか?」
いきなり聞いたからか、磨北さんは少し驚いたようで、戸惑った表情になった。
「そ、そんなに気づかれるほど変だった!?」
「まぁ‥‥そうですかね? でも、何かはあったんですね」
すると、恥ずかしいことなのか、磨北さんは顔を赤らめつつも口を開いた。
「あ、あのね。 私‥‥‥‥夕闇くんとお付き合いをすることになったんだ」
‥‥‥‥え?




