115 卒業の日に
お兄様と磨北さん、ついでに森田先輩が遊んでいた日から、磨北さんも森田先輩同様に特に勉強会とかそういうことでもなく、よく家に遊びにくるようになった。
私はというと、変わらず昏睡状態の蕾ちゃんの家に通い続けていたので、家に帰る頃には辺りは真っ暗になっていて、お兄様とのいる時間も少なくなり、必然的にお兄様の会話も蕾ちゃんが倒れる前と比べたら随分と少なくなってしまった。
蕾ちゃんの状態が全く改善することなく、お兄様とも以前のようにずっと一緒にいることもない、そんな悩ましい日々が日常になりつつある中、私は今日、中学校の卒業式を迎えることになった。
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「卒業‥‥か。 出来れば蕾ちゃんと写真を撮ったり、思い出話とかしたかったな‥‥」
周りの同級生達がそんな風なことをしていて、羨ましく思いつつも、私は蕾ちゃんの家へ向かった。
蕾ちゃんの家に着いて、初めに出会ったのは小乃羽ちゃんだった。
「あ、お姉ちゃん! ご卒業おめでとうございます」
開口一番のその笑顔に私は大変癒されました。
先程までの暗い気持ちが吹っ飛ぶね!
「ありがとう~。 ‥‥‥‥あれ? そういえば在校生ってまだ学校にいるんじゃなかったっけ‥‥小乃羽ちゃん、今日学校は?」
「行ってないですよ?」
いや、そんな当然ですみたいな顔をされましても‥‥。
「いや、お姉ちゃんの卒業式なんで、本当は行く気満々だったんですが、師匠に依頼されたお仕事がありまして、行けなかったんですよね」
「まだ蕾ちゃんのお仕事残ってるの?」
かなりあれから時間が経ってるはずだけど‥‥新たに依頼を引き受けたなら別だけどね。
「はい、師匠の依頼はまだまだありますね‥‥。 師匠ならすぐかもしれないですが、アイちゃんと私だとやはり時間もかかりますし‥‥。 でも、遅れが最小限になるように頑張ってる訳です」
あ‥‥人気ホテルのようにかなり先まで予約でいっぱいな訳だね‥‥。
「それなら、休むのも仕方がないことなのかもね‥‥」
「あ、でもでも成績は別に落ちてるわけではないので、特に先生にもなにか言われることはないですけどね」
「そういえば、私、小乃羽ちゃんの成績とか知らないや。 小乃羽ちゃん、一番最近に受けたテストの順位は何位だったの?」
「え、一位ですけど‥‥」
‥‥‥‥私の周りには天才しかいないのか!!
なんで学校休んでそんな点数がとれるのか‥‥本当に教えてほしい訳なのだが。
まぁ、それくらいじゃないと、蕾ちゃんの弟子にはなれないのかもしれないね‥‥。




