114 仲良しの三人
腕時計の件を伝え終えた後、私はいつも通り暗くなるまで、蕾ちゃんの家で何かしようと思っていたのだが、思ったよりも疲労は蓄積されているようで、たまにふらっとしてしまうことがあり、私は流石にこれ以上は迷惑をかけてしまうと思い、アイちゃんに言い、早めに帰ることになった。
「はぁ、蕾ちゃんはいつもどんなに夜更かししても元気だったけど、私は根性がないのかな‥‥」
そして、久々に暗くなる前に家に着き、扉を開けると、そこには何故か磨北さんの姿があった。
「ん? 奈留、早かったな」
「奈留ちゃん、お邪魔してます」
これは‥‥どうしたことだろう‥‥。
私のいない間に、お兄様は女の人を連れ込んで二人きりで‥‥!
「あ、奈留ちゃん帰ってきたんだ! 久しぶり! 最近遊びに行ってもいないから奈留ちゃんの手料理が‥‥」
‥‥あ、森田先輩もいたんですか、ちょっと色々とショックな光景だったので全然視界に入らなかったみたいです。
でも、森田先輩もいたんなら三人だから特になにもないか‥‥。
「お三方で何をされてらしたんですか?」
前みたいに勉強会かな?
森田先輩はともかくとして、磨北さんが来たってことはそれくらいしか考えられないけど‥‥。
「いや、別に普通に遊んでただけだぞ。 最近は学校内でもこの三人でいることが多くてな」
「席が隣っていうのもあるけど、昼御飯一緒に食べたりするよね」
何だかいつの間にかお兄様は磨北さんとそれほど仲良くなっているというわけですか‥‥。
初めは興味ないというところから、こんなに親密になるっていうのはやっぱり磨北さんの性格がいいからだろうね。
私も別に現状の関係をどうこうするつもりはないし、何なら凄くいい関係のような気がする。
「奈留ちゃんも一緒に遊ばない? ゲームやってたんだけど、陸じゃ手加減が出来ないみたいで、ボコボコにされるんだよね‥‥」
「出来ないんじゃなくてしないだけだぞ。 それはそうと、奈留疲れてるんだろ? こいつのことは気にせず休め」
「は、はい。 そうします」
流石にお兄様には隠しきれるものではないようだ。
ふらつきは今はないけど、お兄様はちょっとした異変なんかも気付いちゃうのかな?
はぁ、出来れば、久々に晩御飯を作ろうかと思ってたんだけど、お兄様がそれを許さないだろうな‥‥。
「今日も奈留ちゃんのご飯はなしか‥‥じゃあ、仕方がない。 陸! 飯を作れ」
「帰って食え」
そんな声が私の後ろから聞こえつつも、私は自分の部屋へ行き、休むことにした。




