109 ベッドの中に
掃除を終わらせた私は、アイちゃんと小乃羽ちゃんにかわり、帰えるギリギリまで、蕾ちゃんの寝室で蕾ちゃんの様子を見ていた。
蕾ちゃんを前にするとどうしても何か話したくなるから、寝室では独り言が多くなる‥‥。
蕾ちゃんは聞き上手だったから、いっぱい色んなことを話せたんだよね‥‥。
「見た目はただ眠ってるだけのように見えるのにね。 本当に何が原因なんだろう‥‥と、そろそろ帰らないと。 ごめんね、蕾ちゃん。 また明日」
寝室から出て、アイちゃんや小乃羽ちゃんにもお別れを言った後、私はお兄様の待つ家に帰った。
◆◇◆◇◆◇
家に帰った私はお兄様に帰ったことを伝えた後、すぐにお風呂に入り、そして寝る準備を始めた。
昨日まではまだ何かやることがあるんじゃないかと思って、帰ってからも色々とやっていたが、正直お兄様がほとんどやってしまわれているからね。
お兄様にも心配されてしまって、申し訳ないですし。
それに朝、何だか頭痛とか普段とは違うような感じで、やっぱり疲れてるんじゃないかと思ったんだよね‥‥。
それで何時もより早めに寝ようと思い、ベッドの中に入ったのだけど‥‥。
「眠れない‥‥」
あまり寝てないから眠いはずなんだけど、それでも何時もと違う時間だと眠れなくなるみたいだ。
何度か寝返りを打っていると手に金属のような物が当たった。
ベッドの中で携帯を見たりとかそういうこともしない私はベッドの中にあるものが何だか分からなかった。
「ん? 何だろう‥‥」
中から取り出し、電気を点けて見てみるとそれは───
「え、腕時計!?」
私が今持っている物は腕時計は腕時計でも、蕾ちゃんの開発部屋にあった、あの発明品の腕時計だ。
「なんで、私の部屋のベッドに腕時計が‥‥」
持って帰ったとかそういうわけではないはずなのに‥‥。
そもそも、腕時計は私がちゃんと元の位置に戻したよね?
まさか、腕時計がワープした! みたいなことは‥‥流石の蕾ちゃんの発明品でもないかな。
「でも、この腕時計は二つだけってアイちゃん言ってたもんね。 だから、そのどちらかが何故かベッドにあったと。 ‥‥いや、本当に何で!?」
明日、蕾ちゃんの家に行くときに返しに行くのは当然として、どうしてここにあるのかとかアイちゃんと一緒に考えてみないと。
「あ、これって蕾ちゃんが大切にしてるものだったね‥‥。 出来るだけ大切に扱わないと‥‥」
そういえば、この腕時計危険って‥‥でも動かさないわけには‥‥。
結局、この腕時計のことで色々と考えてしまい、寝たのは遅くなってしまった。




