108 片付けた後───
「ふぅ、なんとか綺麗になったね。 でも、蕾ちゃんが起きて、こんなに整頓した部屋を見て、物の場所とかわかるかな?」
凄く散らかっていても、本人には探し物のその場所がわかるとかよくあるもんね。
だから何時も蕾ちゃんの家を整理するときなんかは蕾ちゃんに聞きながらやっていたものだけど‥‥。
『元々マスターは散らかった状態の時点でよくわかっていなさそうでしたから、大丈夫です。 起きたら私が教えますよ。 ありがとうございました、夕闇さん。 一つをお願いしたはずが、結局ほとんどの部屋をやってもらっちゃって』
「まぁ、色々と危ないからね。 ‥‥あ、そういえば、開発部屋にあった腕時計また時間ズレてたんだよね‥‥」
夢の時と同じように気になっちゃって、でもアイちゃんの指示にも従わないといけないから後で正そうと思って持ってきちゃったんだよね。
えっと‥‥今の時間は‥‥七時くらいか‥‥。
う~ん、やっぱりこれ午前午後がわからないな。
『ん? 夕闇さんなにして───って! 夕闇さんそれ発明品ですよ!!』
「え?」
時間を今現在の時間に合わせた時にアイちゃんの言葉が聞こえ、私は今持っている腕時計を凝視した。
発明品? このなんの変哲もないような腕時計が?
『それをゆっくりとそこの机の上に置いてください』
アイちゃんが先程までとは打って変わって、真剣な表情になっていた。
「わ、わかった」
私はその腕時計を近くの机の上に置いた。
『‥‥‥‥ふぅ、よかった』
「そ、そんなに危ないものだったの?」
アイちゃんの反応を見るに相当危険だったように見えるけど‥‥。
でも、夢の時もそれと今もだけど特になんともないけど?
『確かに起動すれば危ないですが、夕闇さんが起動条件を満たしていないのは見たらわかりましたので、そこは心配してませんでした‥‥それとは別にその発明品はマスターがとても大切にされているものなので、壊れたりなんかしたら、あのマスターでも怒ってしまうかもしれないと思いまして』
「あぁ、なるほど。 蕾ちゃんの宝物な訳だね」
───って! 夢では私、その大切な腕時計落としちゃってたな! ‥‥本当に夢でよかった。
『そうなんです。 この発明品はかなり特殊でして、マスターが長年時間をかけて作られたものということと、あとマスターが作る発明品としては珍しいのですが、見た目も性能も全く同じものがもう一つあるんです』
「それは珍しいかも」
確かに蕾ちゃんは趣味で発明品を作っているからか、二個同じものを作るとか、あまりないような気がする。
もう一個作ってもそれは前のよりもスペックが高いものとかだもんね。
そして私は片付けるついでに、アイちゃんにもう一つの発明品の場所を聞いて、見てみると綺麗に包装されていて、本当に大事なんだということが伺える。
そこら辺に散らばっていた発明品とは扱いの差が凄いね‥‥。
「そういえば、あの発明品ってどう使うものなの?」
『秘密ですよ』
くっ、このAI、セキュリティが固いな‥‥いやまぁ、教えてくれないのは当然ですよね‥‥。




