107 その先の出来事
「オっムライス♪ オっムライス♪」
何だか聞いたことのある小乃羽ちゃんの声と共に、私はオムライスを作っていた。
そういえば、夢だとこの後、アイちゃんが後ろにいきなり現れるんだったよね。
別に全てが夢の通りにはならないとは磨北さんとのことでわかってはいるけど、一応警戒はしておくべきだよね‥‥!
‥‥後ろを凄く気にしているせいで、アイちゃんが現れなくても指を切りそうだね。 気を付けないと‥‥。
『夕闇さん』
「───っ!! な、何かなアイちゃん?」
た、耐えた‥‥よかった‥‥。
『ど、どうしました? 何だか神経を尖らせてたみたいですが‥‥』
「なんでもないよ、あはは‥‥」
でも、夢を見てなかったら絶対に切ってただろうし、正夢ありがとう‥‥。
「それで、どうかしたかな?」
『お料理を終わってからでいいので、少しマスターの部屋の整理をしてもらえないかと思いまして。 発明品の山も一部崩れてしまいそうなので‥‥』
発明品の山って‥‥また普通ではないような‥‥ていうか、発明品そんな雑で大丈夫なんですか‥‥?
「うん、片付けだね、大丈夫だよ。 じゃあテキパキ作っちゃうね」
アイちゃんが後ろにいきなり現れるという心配がなくなった私は先程とは打って変わって、小乃羽ちゃんの為にすぐにオムライスを作った。
そういえば、夢ではオムライスは作れなかったから、もう正夢で見た部分は終了か‥‥何だか少し寂しいような気がするね‥‥。
◆◇◆◇◆◇
『そこの物はこっちにお願いします‥‥あ、それは危ないので慎重に‥‥』
私では扱いがわからない発明品をアイちゃんにどこをどうすれば安全かを教えてもらいつつ、私は整理をしていた。
‥‥しかし、そんな教えてもらわないと危険なもの部屋にバラまかないでほしいところなんですが‥‥。
というか、こういう場面に正夢みたいなのが必要なのではないでしょうか‥‥なんで起きちゃったんだ私!
「そんな危ないもの、何に使うのさ‥‥」
『いえいえ、適切に使えばなんともないものばかりですよ。 この辺にあるものは記憶に関するものが多いので、不適切に扱えば記憶が消えちゃうことも‥‥』
ちょ! 手伝わせる前にそういう危険なことについては説明しといてほしいわけですが!?
「怖い! 本当になんでそんなものを散乱させるかなぁ‥‥ていうか、前にもこんなのあったよね?」
『ありましたか? ‥‥試作品が多くあるのでそのひとつかもですね。 あ、夕闇さん、その持ち方は危ないです』
「もう私、整理するのやめていいかな?」
こんなにやりたくない片付けは生まれてはじめてだよ!




