106 同じことと同じではないこと
磨北さんと出会ったことは夢の通りだったのだが、それ以降の話す会話は夢とは違っていた。
今は夢より元気だから、特に磨北さんに励ましてもらうほどでもないことが原因かもしれない。
あとひとつ、磨北さんと一緒にいて見つけた、夢とは違う部分があった。
それは磨北さんがお花屋さんで買ったのか、お花を持っていることだ。 夢では持ってなかったからね。
「そういえば、磨北さん。 そのお花って‥‥」
「ん、綺麗でしょ? ちょっといいなぁって思って買ったんだ」
「そうなんですか」
家に飾ったりするのかな?
まぁ、全部が全部同じわけないよね。 夢だし。
「あ、私こっちだからそろそろ行くね? またね、奈留ちゃん!」
「はい、また」
磨北さんが行ってから思ったが、そういえば今回は電話番号聞いてないや。 まぁ、夢は話題が出たからその流れでって感じだったしね。
‥‥まぁ、次あったときに聞けばいいか。
◆◇◆◇◆◇
夢の時と同じようにオムライスの材料を買って、蕾ちゃんの家に行った。
やはりというかなんというか、リビングで作業している小乃羽ちゃんは私に気付いてる気配はない。
‥‥あ、そういえば夢では、この時に小乃羽ちゃんに声をかけちゃって急いでこっちに来ようとして転けちゃうんだったよね?
うん、いくら同じようにならないこともあるとはいえ、一応何も言わないでおこう。
そして私は小乃羽ちゃんに声をかけずに五分ほど作業しているとと、いきなり小乃羽ちゃんの声が聞こえた。
「あれ‥‥お姉ちゃん!? いつの間に来てたんですか! すみません、お姉ちゃん! 私手伝いもせずに! 出来ることがあれば手伝います!」
あれ? 声はかけてないけど、何故か夢と似たようなことになってるような‥‥。
「いや、小乃羽ちゃん忙しいでしょ?」
あ、私も似たようなこと言っちゃったかな?
「いえいえ、そんな! 私も手伝い────ッバフ!!」
私が何か言う前に、夢と全く同じ転け方で、小乃羽ちゃんは顔面を強打していた。
ふわふわのマットがあったとはいえ、痛そうだ‥‥。
「だ、大丈夫‥‥?」
正夢だとしたら、特に問題はなかったはずだけど、やっぱり心配になり、小乃羽ちゃんの元へ駆け寄る。
「は、はい‥‥うぅ、鼻ちょっと痛いですが‥‥」
「立てるかな?」
「あ、ありがとうございます、お姉ちゃん」
こうして、また夢と同じような出来事が起きたわけだけど、違う行動をとったつもりだったんだけど、変わらなかったね‥‥あんまり少しの変化なんて関係ないくらい小乃羽ちゃんはドジなのかな?




