103 探していると───
「オっムライス! オっムライス!」
その後、私は昨日小乃羽ちゃんに約束したオムライスを作ることにした。
小乃羽ちゃん、さっき転けたのに今元気だね~。
「まだかかるけどね。 ふわとろだから出来たら呼ぶね」
「お願いします~」
最近、小乃羽ちゃんも落ち込んでいる時が多かったけど、今日は何だか嬉しそうだね。 オムライスが好きな料理だったりするのかな? あまり小乃羽ちゃんにそういうこと聞いたりしたことなかったな‥‥。
っと、手を止めてた。 早速作っていかないとね。
その後、オムライスを作っていて、玉ねぎを切っている時に、ちょっとした出来事があった。
「う~ん、そういえば、オムライスのご飯の部分、普通にチキンライスにしちゃってたけど、小乃羽ちゃん大丈夫かな───『夕闇さん』 ───うぁ!?」
後ろから突然アイちゃんが現れ、私は凄く驚いてしまった。
流石にお化けは怖くなくても、急に後ろに現れるとね‥‥。
『あ、すみません、お料理中に。 少しお願いが‥‥‥‥って、さっきので指から血が! 申し訳ありません!!』
アイちゃんの言葉で指を見ると、包丁で指を少し切ってしまったようで、血が出ていた。
「‥‥あ、本当だ。 いやいやこれくらい気にしないで? あんまり痛くないし、料理にはついてないしね!」
『い、いえ、それでも! 確か救急箱はマスターの開発部屋の方に‥‥』
「そっか、じゃあちょっと行ってくるよ。 アイちゃんは忙しいだろうし、気にしないで大丈夫だからね」
『本当に申し訳ありません』
料理を一旦中断して、傷はティッシュで押さえつつ、私は蕾ちゃんの開発部屋に行った。
◇◆◇◆◇◆
「‥‥ごちゃごちゃしていて何処にあるのか全然わからないな‥‥」
流石開発部屋というだけのことはあり、大量の物で溢れた部屋は、救急箱を探すのも一苦労だ。
これはアイちゃんに場所だけでも聞いておけばよかったな‥‥。
意外にも深く切ってしまったのか、まだ血は止まらないので、出来れば早く見つけたいところだが、アイちゃんに大丈夫って言ってすぐにだからね‥‥。
そして棚や物入の中にないか探していると、触れてしまったのか高いところから腕時計らしきものを落としてしまう。
「あ、やばっ! 時計壊れたりしてないよね!?」
時計を見てみると針はちゃんと動いていたが、現在の時刻とはかなりズレているようだった。
元々ズレてたのかな?
「ふぅ、壊れてないならいいけど‥‥けど、こういう今の時間とズレているのってどうしても気になっちゃうんだよね‥‥」
そこで私は救急箱を後回しにして、時計の針を現在の五時前に合わせることにした。
‥‥‥‥あれ? 日にちを表すところもあるね‥‥ってことは、これって午前午後どっちだろう‥‥わかんないな。
まぁ、いっか。 これでよし────────




