102 だ、大丈夫?
磨北さんはその後も私を元気づけようと色々と話してくれた。
お兄様や蕾ちゃん達以外にこんなに親しみを込めて話してくれる人なんてほとんどいなかったので、なんだか磨北さんが本当にお姉さんのような‥‥‥‥いやいや、私には姉はいないし、磨北さんも兄弟はいないっていってたけども。
でも、なんだか磨北さんってお姉さんって感じなんだよね。
小乃羽ちゃんも私のことお姉ちゃんって呼んでくれているけど、年上で先輩だから呼ぶ、そのお姉ちゃんじゃなくて、本当の兄弟の方のね。
「ん? どうかした?」
「い、いえ! なんでもないです!」
何だか前まではお兄様のことが絡んでたから、あまり良くは思わなかったけど、今は別に良い人って感じだ。
そう思うと前までの態度とかが申し訳なくなってくるね‥‥。
「っと、私そろそろ行く場所があるから行くね? また落ち込んだときはいつでもお姉さんが力になるから! 電話かけてくれてもいいよ?」
「いえ、私磨北さんの電話番号も知らないですし‥‥」
「え!? あ、そうだったね。 そんなのいくらでも教えるよぉ。 だから毎日かけてきて?」
「毎日は嫌です。 ‥‥でも、本当にありがとうございます」
‥‥磨北さんなら、気を許してもいいかもしれないね。
◇◆◇◆◇◆
磨北さんと別れた私は、小乃羽ちゃんが昨日食べたいと行っていたオムライスを作るための材料を購入し、蕾ちゃんの家に向かった。
蕾ちゃんの家に着いて、材料を置くために、まずはキッチンに行くと、リビングの方で小乃羽ちゃんが作業しているのが見える。
ということは、蕾ちゃんは今アイちゃんが見てるのかな?
「小乃羽ちゃん、夕御飯どのくらいの時間がいい?」
「んー、えっとですね‥‥って! お姉ちゃん!?」
あ、部屋に私入ってきたこと気付いてなかったんですか。
まぁ、集中していたっぽいし、仕方ないのかも‥‥。
「すみません、お姉ちゃん! 私気付かなくて! 食材、冷蔵庫に入れるのとか手伝います!」
「いや、少ないからいいよ。 それに忙しいんでしょ?」
「いえいえ、そんな! 私も手伝い────ッボフ!!」
小乃羽ちゃんは急いで立ち上がったからか、自分の足につまずいて、綺麗に顔面から転けた───!!
幸い、ふわふわのマットの上だったから何もないところよりはマシだっただろうけど!
「だ、大丈夫!? 小乃羽ちゃん!」
「は、はい‥‥うぅ、鼻ちょっと痛いですが‥‥」
「もう、小乃羽ちゃんって意外にドジ? 立てる?」
私は小乃羽ちゃんの方へ行き、手を差し伸べる。
「あはは、すみません。 ‥‥あ、さっきのは急だったんで転けちゃいましたけど、普段は別に転んだりしませんからね!」
‥‥ドジって言われるの少し嫌だったのかな?




