98 やるべきことをやる
蕾ちゃんの様子を見たあとは、キッチンに向かい、ほとんど小乃羽ちゃんの為に家事全般を私がしている。
小乃羽ちゃんも蕾ちゃんの弟子なだけあってアイちゃんでは物理的に出来ない部分を小乃羽ちゃんがカバーしているので、必然的に家事が疎かになる。
なので、私が料理や洗濯をしているというわけで‥‥まぁ、いつもやっていることだから、全く問題はないんだけど。
『マスターが見たら、一家に一台奈留ちゃんキター!! とか言いそうですね』
アイちゃんが蕾ちゃんのモノマネをしながら話しかけてきた。
いつものアイちゃんなら絶対にしないことだよね‥‥最近は皆暗くなっちゃってるから気を使ってくれたのかもしれない。
「うん、言いそう。 でも蕾ちゃんならキタでござる! じゃないかな?」
『そ、そうですね』
AIでも恥ずかしかったのかアイちゃんの顔が少し赤くなってるのが何だか可愛かった。
「アイちゃん一段落ついたの?」
ここ最近アイちゃんを見る機会がガクッと減ったからね。
『はい。 まぁ、次から次へと仕事が来るんですけどね』
「凄いね。 蕾ちゃんの代わりなんて普通は出来ないもん」
もしかしたら蕾ちゃんはこうなることを見越して、小乃羽ちゃんを弟子にして、アイちゃんを部下みたいに‥‥いや、流石にそれは考えすぎだよね。 二人がいたのはもうかなり前からだもん。
『いえ、別にそんなことはないんですよ。 マスターが受けている仕事はほとんど既存の機械のスペックなら何やらを弄るみたいな感じですから。 まぁ、それでも難しくてギリギリではあるんですが、代わりが務まらないというわけではないんですよ』
「そうだったね。 あの世に出たら確実に不味いような発明品の数々は蕾ちゃんが趣味で作ってるんだったね‥‥」
もしそれが仕事の方になってたら、確実に二人じゃ無理だったってことだね。
でも、今の感じでもかなり大変そうではあるだよね‥‥。
一体どれくらいスペックを上げてるんだっていう‥‥たぶんだけどそれも常識を超えてるんだろうなぁ‥‥。
『あ、忙しくて言えませんでしたが、夕闇さんにはマスターや小乃羽の面倒をしてもらって本当にありがたく思ってます。 ですが、マスターはきっと夕闇さんには普通に生活してほしいと思ってるはずです』
「そう‥‥だろうね。 でも、やっぱりそれを放り出してでも蕾ちゃんが心配だから。 やっぱり隣に蕾ちゃんいないと寂しいし‥‥」
『本当にありがとうございます、夕闇さん』
その後、私はキッチンで料理の続きを、そしてアイちゃんは蕾ちゃんを見てくると言い、寝室へ向かった。
『マスターはやっぱり、いい友人を持ってますね。 ‥‥今が少し落ち着いてマスターがまだ目覚めてなかったら、私の知っているマスターのことを夕闇さんに話してしまうかもしれません。 だから、早く目覚めてくださいね、マスター』
 




