97 こうなることを考えて
蕾ちゃんが意識不明になっているのを発見してから、一週間以上が経過した。
その間に蕾ちゃんが目覚めることもなく、私は以前の何倍も不安を抱えて生活していた。
学校が終わり次第、出来るだけ蕾ちゃんの家に寄っているが、全くと言っていいほど変わっていない。
今日も学校が終わってすぐに蕾ちゃんの家に行った。
小乃羽ちゃんはというと発見したその日から蕾ちゃんの家に泊まり込んで蕾ちゃんの身の回りのことをしていて、学校にも行ってないそうだ。
しかし、やっぱりショックが大きかったのか、小乃羽ちゃんの雰囲気がまるで違っていて、とても落ち込んでいる様子だった。
部屋に入ると蕾ちゃんが横になっているベッドの隣で小乃羽ちゃんが心配そうに蕾ちゃんを見ていた。
「小乃羽ちゃん、蕾ちゃんに何か変化は‥‥」
「ありません。 ずっと同じです‥‥」
私のいない間にと思ったのだけど‥‥変化なしか。
小乃羽ちゃんは朝から晩まで蕾ちゃんのことをこうして見ているのだろうか‥‥。
「小乃羽ちゃん大丈夫? ちゃんと寝てる?」
「私は大丈夫です。 適度に睡眠もとれとアイちゃんに言われますから」
「それならいいんだけど‥‥。 アイちゃんは?」
「師匠の仕事を出来るだけやっているみたいです。 以前から師匠はアイちゃんだけでも色々と出来るように発明品を作っていたので、特に問題はないみたいですが‥‥やっぱり師匠は自分がこうなることをわかっていたってことですよね?」
「どうして、そう思うの?」
私も思い当たる所はいくつかあるが、でも小乃羽ちゃんはどうなのかを知りたくて質問した。
「先程言ったアイちゃんのこともそうですけど、ベッドの周りに生命維持するための機械がいっぱいあるんです。 これってもうそうなることを考えてってことですよね?」
「これってそういう機械だったんだ‥‥。 知らなかった‥‥」
ただ、置き場がないから寝室の周りに置いてるだけだと思ってたけど‥‥。
「私も知りませんでしたけど、細かい部分を師匠の体につけるようにアイちゃんからお願いされて‥‥。 なんだかへこみますよ。 アイちゃんは知っていて私は知らないっていうのは」
「アイちゃんは蕾ちゃんと一緒にいる方が多いんだし仕方ないんじゃないかな? でも少しは話してくれてもよかったんじゃないかなって私も思うけどね‥‥」
まだ、蕾ちゃんにとっては信用をえられてないってことなのかな‥‥。
それともどうしても言いたくないことがあるってことなんだろうか。
「もう! 師匠が起きたら秘密にしてること全部聞きます!」
「あはは、そうだね」
二人で話していて、少しだけだけど私も小乃羽ちゃんも少しだけだけど元気が出たような気がした。




