95 ただ寝てる‥‥だけ?
蕾ちゃんがいたことを確認したあとは、小乃羽ちゃんはリビングにてパソコンを操作していて、隣接しているキッチンとダイニングで私は料理の準備をしていた。
私が何か食材がないか探していると、小乃羽ちゃんが私に話しかけてきた。
「そういえば、お姉ちゃん」
「どうしたの? 小乃羽ちゃん」
声をかけられたので振り向くと、小乃羽ちゃんは先程までしてあたタイピングを止め、こちらを向いていた。
「私、師匠の寝室に入ったときに一つ、あれ? って思ったことがあったんですが‥‥」
「ん? 何かあった? 私は気付かなかったけど‥‥」
「いえ、私の勘違いかもしれないですけど、寝室にロボットのようなものがあったんですよね。 あれって前からあったかなと思いまして‥‥」
え? そんなのあったかな?
「ごめん。 蕾ちゃんの寝室も結構いろんな発明品あるし、何があったかとか覚えてないや」
「そうですよね、私も覚えてるわけではないんですけど‥‥でもあんなのあったかなと疑問に思いまして」
「そのロボットってどんな感じの?」
「う~ん、よく介護ロボットってあるじゃないですか? あんな感じかもです」
てことは、人型に近いロボット‥‥そんなのあったかな?
「まぁ、ここ短期間で作ったものなのかもね」
「そうですね、その可能性はあるかもですね。 師匠は作るの速いから」
それからまた私達はそれぞれの作業に戻った。
あとどれくらいで蕾ちゃん起きてくるだろうか‥‥。
◇◆◇◆◇◆
私は料理の準備を基本終わらせ、小乃羽ちゃんも作業出来るだけしたようで、私達はリビングで呆けていた。
変だと思ったのは蕾ちゃんの家に来て、どれくらい経ってからだろうか‥‥いや、変だとはまだはっきり思っていない。 ただ違和感をうっすらと感じていた。
その違和感は蕾ちゃんについて。
初めは疲れているからとか、ちゃんと寝るときは長く寝るんだと思ったのだが、朝迎えの時は私が来ると、起きた後、また寝る。みたいな何かしらの反応を見せる蕾ちゃんがこんなに長時間寝ることなんてあり得るのだろうか?
「ねぇ、お姉ちゃん。 私少し師匠の様子を見てきますね」
小乃羽ちゃんも蕾ちゃんのいつもと違う感じに違和感を持っているのだろう。
「私も行くよ」
そして、私達はリビングから出た後、寝室の目の前まできた。
そして扉をゆっくりと開け電気をつけると、そこには家に来たときと全く体勢で横になっている蕾ちゃんの姿があった。
今度は来たときと違って蕾ちゃんに起きてもらうために、近付いて声をかける。
「蕾ちゃーん、そろそろ起きないと昼夜が逆転しちゃうよー?」
「それは毎日のことですけどね‥‥というか、師匠に夜寝る習慣はなさそうですが。 あ、すみません。 私も起こすの手伝いますね。 師匠~! 起きてくださ~い!」
いつもならここで何かしらの反応があってもいいはずなのだが、蕾ちゃんは全くと言っていいほど反応がなかった。
「‥‥‥‥ねぇ、小乃羽ちゃん。 そもそも蕾ちゃんってそこまで寝相が良くなかった‥‥よね?」
「そうですね、良いとは言えないと思います‥‥‥‥あれ、今日はずっと真っ直ぐ仰向け‥‥ですね?」
これはもしかすると寝てるとかそんな普通のことじゃないんじゃないか。 もしかしたら‥‥もしかして─────
「小乃羽ちゃん! 蕾ちゃんはちゃんと息してる!? 脈は!」
自分やればよかったのだが、その時の私は正確な判断ができる自信がなったので、小乃羽ちゃんに聞いた。
「は、はいっ! ‥‥‥‥息も脈も大丈夫だと思います。 素人なのであるってことしかわかりませんが‥‥」
「そ、そっか‥‥。 そうだよね。 そうなったら流石に気付くよね‥‥」
じゃあ、本当にただ熟睡してるだけ? それとも────




