91 なんだかわからなく‥‥
「「今日はありがとうございました」」
磨北さんとのお菓子を楽しんで少し経って、そろそろ暗くなり始める頃だったので私達は帰ることにした。
「また、いつでも来ていいからね♪」
「いつでも‥‥‥‥美味しいお菓子を食べるため、帰り道に週に二日、いや三日くらいなら寄ることもできるでござるか‥‥」
いやいや蕾ちゃん迷惑だから! そんな習慣的に来ていいって言ってる訳じゃないと思うよ!?
「蕾ちゃん、後で慎み深さをしっかりと覚えようね」
「え? わかるでござ──ひっ! 奈留ちゃん目が怖いでござる!」
「あはは‥‥でも、本当にいつでも来てね。 二人を見てるとなんだから楽しいから」
「はい、また来ます」
そして私達はもう一度お礼をした後、磨北さんと別れた。
◇◆◇◆◇◆
帰る途中、蕾ちゃんと先程までの磨北さんのことについて話していた。
「でも、私は磨北さんと話したのは今日が初めてでござったが、聞いた通り優しい人でござるな」
「うん、だからお兄様の近くにいても仕方ないなって思うんだよね。 お兄様のことを抜きにしたら磨北さんと一緒にいて不快になったことなんてないから」
お兄様だって、一緒にいて楽しかったからいるんだろうし‥‥やっぱりお兄様の近くにいる人はいい人が多い。
「これからどうなるかはわからないでござるが、優しいからと恋愛はまた別の話でござるよ。 私としては奈留ちゃんには頑張ってほしいわけで‥‥」
「あはは‥‥ありがとう蕾ちゃん」
‥‥でも、やはり磨北さんのような人を見たら誰だって‥‥どうしたらいいのか最近の私はよくわからなくなってしまった。
お兄様はどうなれば幸せなんだろう。
そんな自分一人じゃ答えがでないようなことを、私は蕾ちゃんと別れたあともずっと考えていた。
◇◆◇◆◇◆
家に帰ると、また森田先輩がお兄様と一緒にゲームをしていた。
‥‥そういえば磨北さんが家に来たときは、聞いてなかっただけで、お兄様はちゃんと家に来るってことを教えてくださっていたけど、森田先輩の時は一回もないな‥‥。
まぁ、毎日来られるので、言われても仕方がないかもしれませんが‥‥。
「あー! 負けた! 陸、ホントに手加減してるんだろな?」
「してるに決まってるだろ‥‥まぁ、広葉が弱いから仕方がないな」
「くっ! ゲームがちょっとできるからって!」
「いや、ゲーム以外も広葉に負けたことないんだが‥‥ま、広葉が悔しがるところは何度も見ても楽しいからな」
「俺の敗北を幸福の材料にするんじゃねー!」
あぁ、今日も平和だなぁ‥‥。




