89 お菓子につられて
そうして、私達はお菓子につられて磨北さんの家に来たわけなのだが、そういえばお菓子ってなんでも時間がかかりそうなイメージがあるけど‥‥。
夜遅くなる前に帰れるのか少し心配ではあるけれど、まぁ甘いものの方が大事だよね!
「蕾ちゃん、磨北さんだから今回はいいとしても、次に知らない人にお菓子あげるからって言われても、普通はついていっちゃダメだからね」
「私そこまで子供だと思われてるでござるか!? 確かに寄り道はよくするけど、知らない人の場合は私が望むお菓子じゃなければついていかないでござるよ」
「望むお菓子でもダメだよ!?」
冗談だよね? 流石に蕾ちゃんにも危機管理能力くらいあるよね。
「二人は仲良しだね~」
「あはは‥‥」
磨北さんの前なのに蕾ちゃんといつもの感じで喋ってしまった。
何だか少し恥ずかしい‥‥。
「もう長い付き合いでござるから、奈留ちゃんのことは色々と知ってるでござるし、信頼してるでござる」
「あんまり照れるようなこと言わないでもらえると助かります‥‥」
「ラブラブだね~。 っと、家についたよ。 ささ、入って入って」
こうして私は押されるようにして、磨北さんの自宅に足を踏み入れた。
◇◆◇◆◇◆
磨北さんの家は、まぁ転校してきたからわかるけど、そのタイミングで新築にしたのかとても綺麗だった。
新築の家ってなんでかわからないけど、テンションが上がるんだよね‥‥なんでだろ?
そんなことを考えつつも私達は磨北さんの部屋であろう場所に案内される。
そういえば、何気に蕾ちゃん以外の女の人の部屋に入るのって初めてかも‥‥。
‥‥‥‥いや、蕾ちゃんの部屋は女性の部屋とは一切別物なので‥‥うん、女の人の部屋は初めてきました。
しかし、思ったよりもシンプルというか、まぁ流石にぬいぐるみいっぱいとかって感じではないだろうけど‥‥でも磨北さんっぽくはあるよね。
「奈留ちゃん、見てほしいでござる。 本棚に本がズラッと!」
「本当だね‥‥本好きなのかな?」
「まぁ、好きじゃなければ置いてないでござろうけど‥‥ま、本は面白いでござるからな」
「蕾ちゃん本読むの?」
私、蕾ちゃんが読んでるところ見たことないんだけど?
「ここ最近は全く読まないでござるね!」
「やっぱり‥‥。 私も人より読んでる方だとは思うけど、流石にここまではね」
それに私の場合は定期的に同じ本を何度も読み返すタイプだからね。
一冊だけの方が迷わなくてすむし、じっくり楽しめて好きだ。
そんな風に本棚にある大量の本を見ていると、扉が開き、磨北さんが飲み物を持ってきてくれた。
 




