86 蕾ちゃんに報告
夕飯を食べた後、お兄様は磨北さんを送り届けに行き、私は自分の部屋に戻り、丁度電話がかかってきた蕾ちゃんと話していた。
『やっぱり磨北さんといたんでござるね?』
「そうなんだよ~って、やっぱり?」
事前に来ることが知ってたら蕾ちゃんにも報告しただろうけど、磨北さん来たことが突然だったから、蕾ちゃんには知らせてないはずなんだけど‥‥。
『ふっふっふっ、奈留ちゃんの友達を何年やっていると思ってるんでござるか。 ついに私は奈留ちゃんの考えいることが離れた場所からでも───』
「で、本当は?」
『もう、そこは乗ってきて欲しかったでござるのに‥‥。 まぁ、大体予想はついてると思うけど、休みの日に何処に行くのかと思って、急遽アイを尾行させてたんでござる。 まぁ、それで奈留ちゃんの家が目的地だったので、家に入っていくところを確認した後にアイを撤収させたでござる』
「あ、やっぱりアイちゃん調べてくれてたんだね」
でも、時間をかけなくてもいいと言ったからか、そのくらいで止めてくれているのかな?
『まぁ、奈留ちゃんの為でござるから。 それで、奈留ちゃんの方は本人を目の前にしてどうだったでござる? 何か考えは変わった?』
「えっとね‥‥どうなんだろ? 確かにお兄様が嫌ったりしないような良い人ってことはわかるし、お兄様のお友達でも何ら問題ない人だけど‥‥」
『だけど?』
「‥‥恋ということになると、やっぱり認めたくないという自分がいて‥‥」
変わってない部分もあれば、やっばり変わらない部分もあった。
『誰しも好きな人を誰かにとられたくないものでござるよ、奈留ちゃん。 良い人だからって、しりぞいてしまうのは違うでごさる。 それと、それだけ奈留ちゃんが陸さんを想ってる証拠でござる』
「そうだよね。 うん、ありがと蕾ちゃん」
『いやいや、当然のことを言っただけでござるよ』
蕾ちゃんは本当に私を励ますのが上手だね。
流石、私の一番の友達! ‥‥二番っていたかな?
「あ、蕾ちゃん。 そういうわけだから、別に磨北さんについて調査とかはもうしなくてもいいよ。 知り合っちゃったからね、知りたいこととかがあれば本人に直接聞くことにするよ」
『了解したでござる。 まぁ、私が調べて言うよりも本人に聞いた方がいい話だってあるでござろうからね。 アイの方にも調べるのはもういいと言っておくでござるよ。 じゃあ、奈留ちゃん、また学校の日に』
「またね」
電話を切ってから思ったが、そういえば蕾ちゃんからかかってきたのに私の話ばかりしちゃったな。
‥‥もっと蕾ちゃんみたいに聞き上手になろう。




