82 唖然とする出来事
「なんでそうなった‥‥」
本当に愕然とするとはこの事だろう‥‥。
心で思っていたことが無意識に口から出るくらい衝撃的な光景が今、目の前にあった。
いや私も悪いのは悪いんだろうけど‥‥でも、流石にこれはね?
今日の朝の私はこんなことになるなんて思ってもいなかったのにね───
◇◆◇◆◇◆
朝。 何時ものように朝食を作って、お兄様と一緒に食べる。
なんてことない休日だけど、私にとってはこの時間こそがもっとも大切な時間である。
そもそも二人きりになる時なんて、朝と夜、そして休日くらいだから貴重なんだよね。
私の歳があと一年早ければ二年は同じ高校に通えたのに‥‥まぁ、一年被っているだけでも嬉しいことなんだけどね。
「そうだ、奈留。 今日は何かやる予定はあるのか?」
「いえ、特にないですね。 まぁ、蕾ちゃんは忙しいですから休みの日に毎回遊びというわけにはいきませんし‥‥やることといえば家事と勉強くらいでしょうか?」
「なんか趣味のない主婦みたいになってるな‥‥まぁ、俺も似たようなものだが。 ま、今日は予定があるとしても、明日は二人でゆっくりしたいな」
「そうですね‥‥あれ? お兄様、今日予定ありましたっけ?」
てっきり今日も二人きりでいれると思っていたんだけど‥‥まさかまた森田先輩ですか? はぁ、森田先輩ですね。
「あれ? 昨日言わなかったか?」
「‥‥‥‥あ、あれですね! 思い出しました!」
昨日の聞いてなかったやつだー! 聞いてないことは思い出したけど、内容は全く知らないよ!
‥‥というか、今日だったんですか!
「よかった。 じゃあ、リビングでやるがいいか?」
「はい、構いませんよ」
もうなるようになるしかないよね‥‥でも、この感じは普通に森田先輩が遊びにくるって時とそこまで変わらないな。
よし、きっとそうだね。
「お昼辺りで来るはずだから、それまではゆっくりしよう。 そうだ、この前借りてきたんだが奈留、映画でも見るか?」
「はい、見ます!」
誰かが来るってことも気にはなったが、私としてはお兄様と映画鑑賞をする方が大事で、即座にそちらに気持ちが移った。
◇◆◇◆◇◆
映画を見終わって一段落していると、ピンポーンという玄関チャイムの音がなる。
お昼だし、きっとお兄様が言ってた人だろう。
「あ、来たっぽいな」
お兄様がリビングから玄関に向かい、私も誰なのか気になるのでその後ろに付いていった。
そして、お兄様が玄関を開けるとそこには───磨北祈実さんの姿があった。
「なんでそうなった‥‥」




