50 兄の語りはまだ続く‥‥
兄視点と妹視点が交互になってます。
俺達はその後、昼飯を買うためため、近くにあるコンビニに向かおうとしていた。
「陸、もっとレストランとかそういうところでいいんじゃない?」
「食えりゃどこでもいいだろ。 それとお前がゲームしたいっていうから、家で食えるようにコンビニに行こうとしてるんだろ?」
「それもそっか!」
切り替え早いなコイツ‥‥。
まぁ面倒くさいよりは、いいか。
「広葉、それよりも──」
俺が何を食べるかという、ありきたりな会話を始めようとしたら、俺達に声をかけてきた人がいた。
「あれ? お兄様と、森田先輩じゃないですか」
声のする方に振り向くと福林さんがいた。
「福林さん」
「小乃羽ちゃん、昨日ぶりだね~」
「昨日ぶりです、お二人とも。 そういえば、御姉様がいないなんて珍しいですね」
珍しいか? いないときの方が多いと思うが‥‥。
まぁ福林さんといるときは奈留がいるもんな
「まぁそんな日もあるよ。 それで、小乃羽ちゃんは何してるの?」
「私は料理の買い出しに。 今日は自分で作ろうと思いまして。 そういう二人はどちらに?」
へぇ、料理も出来るのか。
「俺達はお昼を買いに行こうと思ってね」
「そうなんですか‥‥。 あ、あの! もしよろしければ私の家に来ませんか? お昼をご馳走します」
いきなりだな。
でも、奈留もいないし、あまり作るメリットないんじゃないのか?
まぁここは広葉の反応を見ようかな。
「本当に!? よし、陸行くぞ!」
コイツ行く気満々だな‥‥。
ちょっとは遠慮とか、ないのかよ。
「ふぅ、ごめんね福林さん。 お言葉に甘えてご馳走になるよ」
「はい♪」
福林さんは笑顔で返事をした。
その後、スーパーに走っていった広葉を二人で追いかけた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「へぇ、それで今日、小乃羽ちゃんと出会ったんだね。 確かに聞かないとわからなかったけど、別にこんなに長々と前置き話す必要はない話だよね!? もっと短くしてもよかったですよね!?」
昼飯買いに行ったら小乃羽ちゃんと会った、でよかったでしょ!
「大丈夫、ここから一気に話を飛ばすから」
「本当に大丈夫かなぁ‥‥」
◇◆◇◆◇◆◇◆
買い出しをすませ、福林さんの家に着いた俺達は福林さんの手料理を食べた。
料理は正直、奈留と同じぐらいにうまく、驚いた。
俺達はお昼を一緒に食べたあと、福林さんは広葉に何か耳打ちしたかと思うと、何故か広葉は、頑張れと言い残して、先に帰ってしまった。
帰ってゲームするんじゃなかったのか。
「なんだ広葉のやつ‥‥。 まぁいいや、今日は料理ご馳走してもらって、ありがとう福林さん。 今度またお礼するね」
「い、いえ、お礼なんて。 私が作りたかっただけですから」
「じゃあそろそろ俺も帰るよ」
もしかしたらもう奈留も帰ってるかもしれないしな。
「あ、あの! ‥‥‥‥わ、私も少し歩きたくなったんでお兄様に付いて行っていいですか!?」
「え? うん、いいけど」
まぁ特に問題もなかったので俺は了承した。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「‥‥私も小乃羽ちゃんの作った料理食べたい。 なんで、料理の部分を省くんですか! どんな料理だったかとかきちんと説明してください!」
気になっちゃうだろうが!
「短くしてくれといったのは奈留だろ」
あ、そうでした、今は告白の方が大事でした!
この話は後でじっくり聞かせてもらいます!
「そうでした、つい‥‥。 そ、それでこの後なんですよね。 兄さんが告白されたというのは」
「あぁ、この後、俺は福林さんの提案で公園に寄ったんだ──」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「公園ってなんか久々に来たなぁ。 最近はあまり寄ることもないし‥‥。 ん? 福林さんどうかした?」
「‥‥」
「福林さん?」
福林さんは黙って、下を向いている。
よく見ると、顔が少し赤く、熱があるのではと、心配になり少し近づく。
すると福林さんは小さな声で喋った。
「‥‥き‥‥です」
「え?」
小さい声だったので、俺は聞き間違いかと思った。
だけど、次の言葉はハッキリと俺の耳に届いた。
「私、お兄様のこと好きです!」
 




