78 情報によれば
「えっと‥‥磨北祈実。 誕生日が十一月二十八日、美人で誰にでも笑顔で話し、クラスでも人気者。 運動能力も女子の中ではできるみたいでござる。 ‥‥あ、欠点をあげるなら、朝が弱いってことらしいでござるが、授業に支障が出るほどでもないし‥‥うむ、中々のハイスペックでござるな!」
蕾ちゃんが調べたのであろう、磨北さんについてのことをお昼休みに話してくれているのだけど‥‥。
それについてはありがたいんだけど、一つ引っ掛かっていることがあった。
「その前にちょっといいかな? 蕾ちゃん」
「どうしたでござるか、奈留ちゃん」
蕾ちゃんはキョトンとした顔でこちらを向く。
「えっとね‥‥‥‥調べるの早すぎない!? これ話したの今日の朝だったよね!」
「四時間あったでござるよ?」
蕾ちゃんは何を言っているのかという表情で首をかしげる。
「時間の問題じゃなくてね! いや時間も中々に問題なんだけど、そうじゃなくてね! 蕾ちゃんずっと授業受けてたじゃん! いつ調べたの!?」
「普通にアイちゃんに調べさせたでござるけど‥‥」
普通って何だろう‥‥まぁ、蕾ちゃん自身が現実離れしているんだから、気にしちゃったら負けなんだろうけど‥‥。
「そ、そうですか‥‥後でアイちゃんにお礼言わないとね。 でも凄いね、すぐに誕生日とかまでわかっちゃうなんて」
「ちょうど磨北さんについて話している同級生の方がいたらしいので、簡単だったそうでござる。 ま、他人から見た上部だけの情報なので合っているとも限らないんでごさるが‥‥」
「いやまぁ、認めたくはないけど、アイちゃんが調べたことだからたぶん本当だと私は思うかな?」
「まぁ、詳しく調べるならもっと時間があるときの方がいいでござるしね」
これで合ってないよとか言ったら、アイちゃんにもう一度行かせそうだし。
何だろうな‥‥そんなことしてたら、アイちゃんにめちゃくちゃ嫌われそう‥‥。
「でも、私てっきり、また前みたいに透明になって高校に侵入したり尾行したりするんだと思ってたよ」
「それでもよかったんでござるけど、ほら前にアイちゃんの単独行動が出来るようにするための発明品があったでござろう? それが、ようやく私がそばにいなくても安心できるぐらいにはなったので、テストも兼ねて飛ばしてみたんでござる」
「あぁ、あのすごいやつ‥‥。 私としては早いなぁと思うけど、蕾ちゃんにしてみればかなり時間がかかってるのかな?」
「そうでござるね。 思った以上に時間がかかったでござる」
一日で何個も作っちゃうときもあるもんね‥‥。
まぁ、今回は蕾ちゃんでも作るのが難しかったってことなのかな?




