75 仲良くなってるような?
「そういえば、小乃羽ちゃんとそこそこ長い付き合いではあるけど、私の家に来るのって初めて?」
「そうですね‥‥まぁ、そもそもお姉ちゃんと会うのが学校と師匠の部屋ということがほとんどですから。 お姉ちゃんと二人きりというのも少ないですし。 ‥‥でもお姉ちゃんの家は賑やかでいいですね!」
「そうかな? 誰とは言わないけど‥‥あの先輩うるさくない?」
「奈留ちゃん! 該当者一名しかいないんだけど! しかも本人! 本人目の前にいるから!」
一日二日だと賑やかですねって私も言うだろうけど、ほとんど毎日ですからね。 うるさいです。
「まぁ、いつも居座っていて邪魔だからな」
「親友にそこまで言うか君は!」
お兄様に誘われてないのに来るからね、この先輩は。
「やっぱり賑やかですね♪ もっと早くお姉ちゃんの家に行くべきでしたね」
「まぁ、別に連絡さえもらえればいつでも来て大丈夫だよ?」
「はい! 今度は師匠も誘ってきます!」
くっ! 今ここで蕾ちゃんのことを言われると何だか心にくるといいますか‥‥。
あんなキツく言っちゃったし、もしかしたらもう来てくれないなんてこともあるかも‥‥。
はぁ、ちゃんと謝れるかなぁ‥‥。
「ねぇ、やっぱり奈留ちゃんの態度俺だけ違くない?」
「だから、それはお前がゴミなだ‥‥っとメールだ」
「今、ゴミって言いそうになったよな! まぁいいや。 メール誰からだ?」
「まぁいいのか広葉‥‥。 えっとな‥‥磨北だな。 また勉強教えるって感じの」
「あー前からの。 でももう転校してきてからの授業のズレとかも、もうないはずだろ? なんでまだ教えてるんだ?」
「そういえばそうだな。 でもまぁ、意外に楽しいからな」
「ふーん、陸がいいなら別にいいが。 でも、テスト前には俺にもきちんと教える時間をとってくれよ!」
「テスト前じゃなくてもやれよ‥‥」
お兄様達の会話を視線を向けずに耳だけで聞いていたわけだが、お兄様と磨北さん‥‥何だか以前よりも仲良くなっているような‥‥。
お兄様も別に面倒くさそうにしていないし。
それにしても、もう先生に言われていないはずなのにお兄様から勉強を教わるとはどういうことなんだろうか。
お兄様は天才ではありますし、教えるのが大変お上手ですから、授業のズレなどは仕方ないにしても、追い付いた後もお兄様と勉強するというのは流石に変だ。
普通は同性の友達とかに教わったりするんじゃないだろうか?
まさかですが、磨北さんはお兄様のことを‥‥‥‥。
いや、まさかね。




