73 とある疑問
蕾ちゃんの無事か確認できたことに私はホッとしたが、安心したからか私の心にはある疑問が生まれていた。
どういう理由で蕾ちゃんは急に倒れたりしたんだろう‥‥。
触ったとき、熱っぽくはなかったから熱ではないだろうけど‥‥でも、急に倒れるなんて普通じゃない。
病気ということも考えたけど、でもそれなら病院に行くのが一番だと思う‥‥いや、病院では治らない病気ということもあるかもしれないが‥‥出来れば考えたくない。
そういえば、たまに蕾ちゃんの体調が悪くなるときがあったけど、それも熱が出たとかじゃなかったな‥‥。
てっきり、開発のし過ぎで寝不足になって、体調を崩しているのかと思っていたけど‥‥もしかして、あの頃から?
あーもう! 自分で考えていても分からない!
本当に良くないことだったらどうしようと思い、怖いけど‥‥聞いてみるしかない!
「でも蕾ちゃん、どうして急に倒れたりなんか‥‥」
「あはは、何ででござろうな!」
あ、これ絶対に誤魔化してる‥‥。
「それに倒れたとき、寝室で変な発明品を被せるようにアイちゃんに言われたけど、その発明品は何?」
「発明品は‥‥旧式なんでござるが、リラックスアイテムみたいなものでござろうか?」
倒れて、そんなものを使うだろうか‥‥。
「もしかして‥‥どこか悪かったりするの? 病気だったり」
「違うでござるよ。 でも、倒れたのは事実でござるから心配かけたのは本当に申し訳なく思ってるでござる」
病気じゃないから、病院に行く必要はないのか‥‥でもまだそれが真実を言っているという確証がない。
「いや、別に謝ってほしい訳じゃなくて‥‥!」
「もう体調も大丈夫でござるから」
蕾ちゃんを困らせてしまっているのではないかと思い、蕾ちゃんにこれ以上質問することをやめた。
私が何も言わなくなったことで、少し空気が重くなったようなそんな気がして、私の方が何だかその空気に耐えられなくなり、立ち上がった。
「‥‥ごめんね? 倒れた日にこんなに質問とか‥‥私、帰るよ」
蕾ちゃんが返事をする前に私は勢いよく部屋を出た。
凄いモヤモヤした気持ちで何が何やらわからないけど‥‥でも蕾ちゃんはきっと何かを隠してるってことはわかる。
私に話せないことで‥‥‥‥でも何だか信用されてないからじゃないか、なんて暗いことを考えてしまう‥‥蕾ちゃんはそんな子じゃないのに。
明日からまた普通に話せるのか‥‥そんなことばかりが頭の中に渦巻いていた。
◇◆◇◆◇◆
奈留ちゃんが出ていって、機械類でごちゃごちゃはしているが、部屋は何だか寂しい感じになったような気がした。
『マスター、やはり夕闇さんには話しておいた方がよろしいのでは?』
「‥‥いや、奈留ちゃんの重りにはないたくないから‥‥それにこれは私の我が儘の、代償だから」




