64 友の兄の友
「でも、良かったでござるね。 百パーセントで」
「あはは~そうなんだよ~」
「今まで見たことないほど笑顔でござる、奈留ちゃん‥‥」
お泊まり会の次の日、学校に登校していて、すでに昨日からかなりの時間が経っているが、未だに私は嬉しくて顔が緩んでいた。
「奈留ちゃん、あまり喜ぶのは良いのでござるが、視線が‥‥」
「視線?」
ん? ‥‥人はいるけど特にこちらを向いているようには見えないけど‥‥。
「いやまぁ、奈留ちゃんが気にしないのならいいのでござるが‥‥。 それより奈留ちゃん、あれから陸さんは転校生さんのことなんかを話したりしたでござるか?」
「話したりはしなかったね。 勉強を教えたとかそういうことも聞いたりとかはしなかったし‥‥あ、でも森田先輩が色々と話したりはしてたかな? 浮かれてたから曖昧だけど‥‥」
確か、昨日は───
◇◆◇◆◇◆
「なあなあ、陸。 どうしてお前はあれだけ興味がないと言っていたわりには転校生と仲良しなんだい?」
「仲良しって、別に隣だから話したりすることもあるだろう。 クラスメイトの範疇は超えてないと思うが?」
「いや! 確かに普通の人だったらそうかもしれないけど、あれだけ他人には、とことん冷たい感じだった陸が隣だからと話すなんてあり得ないだろ!」
「俺を普通の人じゃないみたいにいうんじゃねーよ!」
「しかも、勉強を教えるとか羨ましいな、このやろう!!」
「おい、あまり大きな声で言うなよ。 というか、羨ましいならお前が教えればいいだろ!」
「いや、それは遠慮しとく」
「なんでだよ!」
◇◆◇◆◇◆
「───っていう会話は聞こえてきたよ。 百パーセントとったから今の今まで嬉しすぎて忘れてたよ。 森田先輩が凄くお兄様の情報を言っているから、あまりお兄様自身が私には言わなくてもいっかって思うのかも?」
「いっぱい喋るでござるもんねー」
そうなんだよね‥‥って、あれ?
「蕾ちゃんって森田先輩に会ったことあったっけ?」
「‥‥あ、いや毎回、話聞いてたらそうだなぁって思っただけでござるよ!」
確かに森田先輩はよく話に出てくるからね。
本当にずっとお兄様と一緒にいるから‥‥。
「そういえば、こんなに長い間、蕾ちゃんと仲良しだしお兄様にも会ってるのに、森田先輩に会うことがないって不思議だね。 この前の高校に侵入したときもいなかったし」
「ま、まぁ、たまたまでござるよ、きっと。 そ、それに友達のお兄さんの友達なんて会っても話すことないでござるよ!」
「あー、それもそうだね」
友達の友達と同じだけで気まずくなるかもだしね。




