63 こっそり見てみる
料理を作っている間、ふとした拍子に少し手が空く時がある。
いつもならその間に洗い物をしたり、別の料理に取りかかるのだが、今日は、蕾ちゃんにせっかく貰ったので、あの相性診断のアプリを試したくなった。
「撮るだけなら離れていても出来るからね。 完全に盗撮だけど‥‥」
でも正直、何か特別なことでもないのに、お兄様に撮らせてくださいなんて言う勇気は私にはないのだ。
早速‥‥あ、まずは試しに森田先輩でやってみよう‥‥って試しにってなんか失礼だな。
まぁ普段はお兄様を挟んでいて、二人の接点はそこまでないし、そんな二人の場合はどうなんだろうと、単純に気になるだけ‥‥そう、そういった理由だね。
「えっと何々、森田先輩との相性は‥‥十九パーセント。 ‥‥‥‥低!? そこまで低くなることあるんだ‥‥」
確かにそこまで関わったりしてないし‥‥って関わる関わらないは数値にあまり関係ないんだっけ?
まぁ、根拠のない占いだと思えばいいんだろうけど、低いね‥‥。
なんだか森田先輩の数値を見てしまったからか、お兄様との相性を見ることに、若干の不安を覚えてしまった。
もしかしなくても、お兄様との相性が悪いなんてこと‥‥‥‥もし、そうなったら流石に占い感覚とはいえ、悲しいとかもあるだろうし、何より兄妹としてすら否定されているような気がして嫌だ。
森田先輩との数値、見るんじゃなかったな‥‥。
でも、ここまできてお兄様との相性を見ないというわけにはいかない。
「お願い! 低くならないで!!」
私は初めて携帯に強く、良い数値が出ることを祈った。
そして、私はお兄様を撮った!
‥‥が、何だか怖くなってしまい、数値を見る前に目を閉じた。
でも、最終的に見ないといけないんだから、うん。
「‥‥よし」
意を決して私は、携帯を画面を見た。
「ひ、百‥‥? ────百パーセント!!?」
そこには、百という数字が書かれていた。
まさかこんな数字になると思っておらず、驚きで私は喜ぶとかそういうことができなくなってしまった。
でも、相性の良かった小乃羽ちゃんでも、百パーセントなんてならなかったのに‥‥。
もしかしてだけど、私とお兄様の相性の数値って‥‥相当凄いことなんじゃ────
◇◆◇◆◇◆
『もしかしたら、兄妹だから百パーセントとかになるのは当たり前なのかもしれないでござるね!』
「私の喜びを返して!!」
その時に蕾ちゃんに良い報告ができると思って電話をしてみると、そんなことを言われてしまった。
喜び損だよ、全く‥‥。
まぁ、その数時間後に蕾ちゃんの方から電話がかかってきて、兄弟でも百パーセントは珍しいと言われて、また大喜びするわけなのだが‥‥。




