62 お泊まり会が終わり‥‥
「じゃあ、蕾ちゃん。 私はそろそろ帰るよ」
楽しむだけ楽しんで、やりたいことをやり尽くしたと言ってもいいほど、充実した二日間だった‥‥と思う。
「う~、名残惜しくはありますが、このままだと奈留ちゃんが二泊することになりそうでござるからな~。 私としては全然構わないんでござるが!」
「流石にお兄様と二日離れるのはちょっと‥‥」
「くっ、奈留ちゃんは本当にブラコンでござるなぁ‥‥」
まぁ、今さらブラコンなんて言われても、当然だよとしか言えないよね。
「小乃羽ちゃんはもう少しいるの?」
「はい♪ 少し師匠に聞きたい発明品などもありますので」
「そっか、じゃあ蕾ちゃん、小乃羽ちゃん。 またね」
そして、私は二人に背を向け、玄関の方へ歩き出す。
『では、マスター。 夕闇さんが帰ったことですし、今週の仕事を‥‥』
「奈留ちゃーん! やっぱり二泊していかないでござるかー!?」
後ろからそんな声が聞こえてきたが、私は気にせず帰ることにした。
◇◆◇◆◇◆
家に帰ると、何故か当たり前のようにいる森田先輩を無視しつつ、私はお兄様に昨日と今日のお泊まりのことについて話していた。
「楽しかったのなら良かったな、奈留」
「はい♪」
「いや~いいなぁ。 女の子同士のお泊まり会! 友人でお泊まりっていうのでも陸とは全然ないからなぁ」
夜中まで何かしていたりはしますが、それでも最後には帰りますもんね、森田先輩。
「男同士で目的もなく泊まりたいなんて思わねーだろ。 泊まる目的があっても、それはゲームを徹夜でするとか、広葉が休み中の多い宿題が終わってなくて、俺が手伝いつつ朝になるまで家にいるとかくらいなものだし」
「まぁ、それもそうだね。 でも俺の家で陸が泊まることは何度かあっても、陸の家で俺が泊まったことは全然ないのは何でなんだろう‥‥」
確かに森田先輩が泊まっていかれるとかって、全然ないですね。
あったとしても大分昔でしょうし。
「俺の家に泊まらせない理由? それはお前、俺の信用を勝ち取ってないからだよ」
「もう十何年の付き合いなのに!?」
流石に冗談だとは思いますけどね、お兄様少し笑ってらっしゃいますし。
「あ、そういえば奈留。 お泊まりで少し疲れてるとか、寝不足だったりしないか? もしそうなら今日のところは俺が料理するが‥‥?」
「いえ、向こうでもぐっすり寝られたので万全ですよ。 お兄様はゆっくりしていてください」
そうして私は帰って来て早々に、料理の準備を始めるのだった。
「なぁ、陸。 奈留ちゃんは俺の分も作ってくれているんだろうか?」
「大丈夫だ広葉。 作ってあったとしても、俺は二人前ぐらいなら余裕だから」
「いや、食べないで帰るから作ってくれてたら申し訳ないとかじゃなくてね! 俺も食べたいんだよ!」
あ、やっぱりご飯こちらで食べるんですね、森田先輩。




