58 夜、ふと目覚めると
学校の話の後も、大喜利をしてみたり、トランプなどのカードゲームをしてみたりと何だかんだで、楽しいお泊まり会になったと思う。
蕾ちゃんはまだまだ遊びたそうにしていたが、小乃羽ちゃんの眠気が限界を迎えたようなので、夜のお喋りはお開きとなり皆で寝る準備を始めた。
お泊まりなんだからお布団を敷いてとかをなんとなく想像していた私だけど、特にそんなことはなく蕾ちゃんがいつも使っているベッドが三人で寝ても全然問題ないサイズなので、川の字になって寝ることにした。
もうすでに小乃羽ちゃんはコクコクと頭を上下に揺らしていて、少し寝ぼける小乃羽ちゃんを頑張って連れていき、これでようやく私もベッドに横になることができる。
「じゃあ、蕾ちゃん寝よっか」
「そうでござるな。 明日の初めの予定は朝風呂でござるからね!」
「あはは、入らないよ。 じゃあ、おやすみなさい」
「えー‥‥。 おやすみでござる、奈留ちゃん」
そして、私は目を閉じると、そのまますぐに眠ってしまった。
◇◆◇◆◇◆
起きたとき、それはもう日が差し込む眩しい朝‥‥というわけではなく、まだ全然真夜中だった。
何故こんな夜中に目覚めたのかと言えば、それは隣の子が先程から眠りながらだが、力強く抱き締めてきているからだ。 流石に目が覚めちゃいましたね‥‥私は抱き枕じゃないですよ?
そんな抱き付くように寝るのは蕾ちゃんだろうと初めは思ったのだが、見てみると小乃羽ちゃんでした‥‥蕾ちゃん疑ってごめんなさい。
そして、抱きついていない方。 蕾ちゃんは静かに寝ているなと思い振り返ると、蕾ちゃんがいないことに気づく。
「あれ、蕾ちゃん?」
あ、ベッドから落ちて‥‥と思って見てみたが‥‥まぁ、落ちてるわけないよね。
‥‥もしかしてだけど、また夜更かししてるんじゃないよね?
そう思い私は起き上がり、蕾ちゃんがいつも開発等をしている、部屋に行く。
見てみるとやはりドアの隙間から明かりが漏れており、そこから蕾ちゃんとアイちゃんの声が微かにだけど聞こえてくる。
『マスター‥‥これ‥‥‥は‥‥‥‥けん‥‥‥すよ』
「わかっ‥‥よ。 あ‥‥‥かいだ‥‥から」
やっぱり聞き取りづらいね‥‥。
でも部屋に入って邪魔するのは申し訳ないし‥‥。
ドアから離れ、寝室に戻ろうとすると目の前に突然人が現れた。
『夕闇さん』
「ふぁ!? あ、アイちゃん‥‥さっきまで部屋のなかに‥‥いつの間に廊下に‥‥」
『私はAIですから。 というより寝てなかったんですか?』
「い、いや‥‥蕾ちゃんがいなかったから気になったというか‥‥」
『あぁ、そうですか。 私の方から言っておきますので夕闇さんは気にせずおやすみになってください』
「そ、そう‥‥わかった」
アイちゃんがそういうので任せた方がいいよね。
そして私は寝室に戻り、また眠りついた。




