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47 違い

 案内されリビングに入った私は、ソファーに座る。

 引っ越ししたてというわりには、片付いているし、特に普通のリビングだった。


「あ、これお茶」


「ありがとう、磨北まきたくん」


 それにしても驚いたのが、ここの家が私の家とそこまで距離がないことだ。

 前世、学校行くときに会ったことがなかったから、もっと違う方向に住んでいるのかと思っていたが。

 いや、前世と今世で家が違うこともあるかもしれないし、会わなかったのも、ただの偶然かもしれない。


「そういえば、奈留なるちゃん。 スッゴい気になってたことがあるんだけど聞いてもいい?」


「はい、いいですよ」


奈留なるちゃんってお兄さんいる?」


 質問だが、祈実きさねさんは確信をもったような表情で私に聞いてきた。

 そういえば同じクラスって言ってたな。

 もう、喋ったこともあるかもしれないしね。


「いますよ」


「やっぱりそうだ。 クラスメイトに同じ名字の人がいるからもしかしたらと思ったんだよね」


 まぁ夕闇ゆうやみって中々いないから、わかるのかも。


夕闇ゆうやみさんってお兄さんいたんだ。 仲いいの?」


 興味深そうに、磨北まきたくんが話しかけてくる。


「そうですね。 特に喧嘩もありませんし。 逆に仲が良すぎるぐらいです」


「へぇ、そうなんだ」


「あんまり、どんな風に仲がいいのか想像できないなぁ」


 学校で、兄さんが本性出すわけないですもんね。

 きっとそれで、想像できないのだと思う。


 私達はこの後も祈実きさねさんと磨北まきたくんと三人で色んな事を話した。




 ◇◆◇◆◇◆




 はじめは、なんだかあたふたしていたが、話してみると、なれてきたのか段々と落ち着いた。


 祈実きさねさんと話してみて思ったことがある。

 やっぱり前世とは少し、性格が違うようだ。

 一年早く引っ越して来たとはいえ、私が前世で話していた祈実きさねさんはもう少し大人っぽく見えた。

 そりゃ今の祈実きさねさんも可愛くて、好きだけど、何か違う。

 それと私が一番祈実(きさね)さんの変化に驚いたのは本の会話の時。


奈留なるちゃん、本たくさん読むんだね。 スゴいなぁ、私って本あまり読まないんだよね」


「え!? 祈実きさねさん小説とか好きじゃないんですか?」


「そ、そんなに意外かな? まぁ嫌いって訳じゃないよ? 今日だって友達に読んでみてって言われた本読んでたし。 しんくんの影響で、最近は結構読んでるんだよ」


 前世ではあんなにたくさんの本が好きで、尚且つ知っていて、多くの話を聞かせてくれていたのに。

 暇じゃなくても本を読んでいるイメージだった。


「僕は本が好きなんだけど、きさねぇはそこまで本読まないよね。 今日もそうだけど、皆が面白いよって言った小説とかは読むけど」


「そうなんだ‥‥」


 あの笑顔で本の話をしてくれた祈実きさねさんには会えないのかと思うと、少し胸が痛くなった。

 それと同時に、前世の自分の根性のなさに苛立った。

 振られてもいいから、死ぬ前に自分の気持ちを伝えればよかったと今頃になって後悔した。


 もし、また転生みたいな奇跡がおきて、前世の祈実きさねさんに会えたなら、今度こそ自分の気持ちに正直になれたらいいなと私は思った。





 ◇◆◇◆◇◆




 しかし、それとは別に祈実きさねさんとは是非とも仲良しになりたい!

 思い出はないかもしれないが、優しい人というところは全く変わっていない。


 元々会いたいと思っていたのは、祈実きさねさんが、兄さんとくっついてくれたらいいなぁという、自己満足のためだったし。

 それに思い出とかこれから作っていくものでしょ!


 私はとある覚悟を決めると、祈実きさねさんに、話を切り出した。

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