42 妹として
やっぱり美味しい‥‥。
現在、お兄様が作ってくれた料理を食べているが、やっぱり私より美味しい。
今はお兄様が作ってくれた料理を食べることができて嬉しいと思うが、昔はこの料理を食べていると自分のやっていることがすべて無駄に感じていたものです‥‥。
‥‥そうか、お兄様にたいして私がなにかできるとは思えない。
それがあったとして思い付いたのなら、もう既に過去にやっているだろうから。
でも、私は私なりにお兄様の妹として努力はしてきた。
だから蕾ちゃんはあの時最後に十分頑張ってるって励ましてくれたのかな。
‥‥うん、あの転校生さんとは違って私は妹なのだ。
転校生さんと仲良くなりそうだからって動揺したけど、私はこの気持ちをどうにかしようとは思ってない。
「ねぇ、お兄様」
「どうした、奈留」
「私のことってどう思ってます?」
普段では聞けないような言葉がサラッと口からでた。
でも、これだけは聞いておきたかった。
「え? この上なくいい妹だと思ってるぞ? ま、正直もう少し肩の力を抜いてもいいと思うけどな」
「そ、そうですか」
お兄様の言葉で先程まであった焦りのような感情はなくなっていた。
意地をはっていたのかもしれないが、初めからお兄様に聞いておけばよかった。
私は、今のままでいいのかもしれないね。
「あ、俺からも一つ質問していいか?」
「え、何ですか?」
「今日の夕御飯は何点か教えてほしいかな?」
「‥‥はい、百点満点ですよ、お兄様♪」
その日から私は以前より更にお兄様の“妹”としてお兄様を笑顔にできるように頑張ろうとそう決意をした。
◇◆◇◆◇◆
「お兄様! 私、お兄様の耳をお掃除することが夢だったんです!」
寝る前のリビングで私はそんなことを思い付いた。
うん、何だか変わらなくていいと思った途端にそういうことを思い付くのは何でだろうという感じではあるのだけど‥‥。
「えらく小さい夢だなそれは‥‥いや、別に問題はないが‥‥」
やった♪
早速私は準備をする。
「じゃあ、お兄様、膝の上に頭をのせてください!」
「あ、いや、別に膝上じゃなくてもいいんじゃないか?」
「いえいえ! 耳掃除の形はそれが正規の形です」
というより、お兄様の頭を乗せてみたいだけなんですが‥‥。
「わ、わかった」
そう言うとお兄様は少しぎこちない感じで、私の膝に頭を置いてくる。
‥‥うん、とてもいい!
「じゃあお兄様、いきますね!」
「た、頼む」
そうして私は出来るだけこの時間が続くように祈りながら耳掃除をしました。
こちら側に頭が向いたときは少し恥ずかしかったですが‥‥。




