33 忙しそうだね‥‥
次の日の昼休み、私は蕾ちゃんと昨日のことについて話していた。
「へぇ、そんなことがあったんでござるか。 まぁ、今さらかもでござるが、陸さんの回りが気になるのでござるね奈留ちゃんは」
「そうなんだよ~。 森田先輩の話ではモテてるみたいだし‥‥」
「森田‥‥先輩‥‥」
「蕾ちゃんどうかした?」
何だか急に、蕾ちゃんの顔が暗くなったような‥‥?
「いや、なんでもないでござる。 でもそんなに気になるなら直接聞けばいいと思うでござるよ。 奈留ちゃんになら嘘つかないでしょうし」
「それ聞いちゃう妹ってどうなんだろう‥‥」
「えー、仲良しだしいいと思うでござるが‥‥」
う~ん、兄弟ってそういうの聞けるものなんだろうか‥‥?
「‥‥というか、蕾ちゃんさっきからお昼食べないで何してるの?」
なんだか何もないところで手だけを動かしていて、正直怖いのだが‥‥。
「あぁ、お仕事っすよ」
「今週やるって言ってたもんね‥‥。 え、でもなにもそれらしいものないけど‥‥」
「結構前に作っていたものなんでござるが、私にだけ見えるパソコンと思ってもらったらいいと思うでござる。 目に専用のコンタクトをつけてるので、それで画面が見えるようになっていて、手や目の動きを認識して操作してるんでござる」
なんかまたとてつもないものをサラッと見せてきたね‥‥。
発明品発表会の時には見せてもらってないし、もしかしたら蕾ちゃんからしたらそれほど作るのが難しくなかったとか?
「なんか蕾ちゃんの発明品を見てると、いつも蕾ちゃんは未来の人なのかなって思えてくるよ‥‥。 でも、そんな凄いのがあるのに、蕾ちゃん家では普通にパソコン使ってない?」
「いやまぁ、こういう先生とかに見つかりたくない時には便利なんでござるけど、正直それ以外に使おうとは思わないでござるよ。 キーボードちゃんと押せてるか見ないといけないし、Enterキー気持ちよく押せないし‥‥。あのそれなら家では元の方が便利なんでござる」
Enterキーの理由はちょっとよくわからないけど、ブラインドタッチはしにくいかもね。
「凄いものでも自分に合うかどうかはわからないってことだね」
「それに、コンタクト怖いし‥‥!!」
え、それが主な理由じゃないよね!?
‥‥なんか、それが理由っぽいね。
「‥‥でも今つけてるんじゃないの?」
「つけることは出来るんでござるが、とるときが‥‥。 日常的につけてる人は凄いでござるよ」
「あはは‥‥そうだね」
そんなに怖いなら、メガネ型にしたらよかったんじゃ‥‥と言いたくはなったが、そっちは先生にバレちゃいそうだしね。
「今度作るとしたら何もつけなくてもすむものを作るでござるよ」
そう言って、蕾ちゃんはまた仕事を再開した。
 




