31 女の子について
「やっほー、奈留ちゃん、お邪魔してるよー」
家に帰ると、お兄様のほかに森田先輩がいた。
今日は勉強していないところをみるに、お兄様に宿題を見てもらっているわけではないようだ。
「お帰り、奈留」
「ただいまです、お兄様‥‥‥‥と、暇そうですね、森田先輩」
「何だろう‥‥とてつもなくトゲのある言い方に聞こえるのは俺だけだろうか!?」
「いえ、見たまま言っただけですので」
「そっかそっか‥‥あれ? もしかして俺嫌われてる!?」
別にそんなことはないですけど、森田先輩がいるとお兄様の近くにいれないということもあり、ちょっと残念だと思うだけだ。
「別にそんなことないです。 ‥‥あ、そういえばこの前の遊園地のチケットありがとうございました」
「あぁ、いいよいいよ。 もらってくれなかったら、期限過ぎちゃって無駄になるところだったから」
「それでもですよ。 そのお陰で楽しかったですから」
「確か、奈留ちゃんの友達と陸で行ったんだよね‥‥陸、羨ましいな‥‥許せん。 くっそー! 俺も行きたかったー!」
「お前、行く気なかったし、行けないからチケット渡したんだろうが」
「女の子がいるなら、なんとしてでも行くだろ普通に考えて!」
こういう会話を聞いていると、やはり森田先輩いなくてよかったなと思いますね。
蕾ちゃんと小乃羽ちゃんはこれからも会わせないようにしないと‥‥。
「何言ってんだこいつ‥‥あ、そういえば、女の子で思い出したが、広葉お前昔仲良くしていた子いたよな?」
あ、そのお話少し聞きたい! お兄様も気になっていたのだろうか?
「ん? ‥‥あぁ、小学生の時の子かな? って、高校二年になっているはずなのに、仲良くしてた女の子って言われて小学生の頃を思い出すって俺相当ヤバくないですか?」
「はいはいヤバいヤバい。 それでその女の子のことなんだが‥‥」
「返事適当過ぎない!? まぁいいや、その女の子がどうかした? ‥‥といっても俺全然覚えてないんだけど」
やっぱりあまり覚えていないみたいだね‥‥。
「そうなのか‥‥いや、広葉と仲良くしてた女の子はその子ぐらいだと思って、覚えているか少し聞いてみただけだ」
「色々と酷いなお前‥‥でもさっきも言ったが、ちゃんとは覚えてないんだよな。 仲良くはなったが短期間だし、突然いなくなったのもあるからな‥‥」
短期間で、しかも小学生の時のことだし、仕方がないのかもしれないね‥‥。
「覚えてることは何なんだ?」
「ん? あぁ、ゲームをなおしてもらったってこととか‥‥あとはその時ちょうど時代劇とかにハマっていたから、そういうごっこ遊びをしてたかな?」
ゲームなおしてもらったって、なにそれどういうことだろう‥‥。
あと何だろう‥‥時代劇ごっこって、女の子がして楽しい遊びじゃないし、もしかしたらいやになって、森田先輩から離れたんじゃないですかね?




