27 迷惑をかけたくなく‥‥
あれから私と小乃羽ちゃんの二人でキッチンを借りて、蕾ちゃんの為のご飯を作っている。
まぁ、あの調子なら普通のご飯で大丈夫そうだね。
「元気そうでよかったですね」
「まぁ、そうなんだけど‥‥何だかあそこまでいつも通りにされると、朝の出来事が嘘みたいに思えてくるよ」
完全に大袈裟だったと小乃羽ちゃんに思われても仕方がないくらいだ。
起きているのがしんどいからって、寝転がりながら作業するとは‥‥そこまでして開発したいとかある意味病気かもしれない。
「師匠らしいですけどね。 私もここ最近はないですが、熱を出したときなんかは暇で何か遊びたいと思ったりしますから。 でもそういうことをすると、もちろん熱があるので体温が上がってしまったり‥‥」
それはあるかもね。 本を読んだりゲームをしたり、それで熱が上がったりするのに、暇なのでどうしてもやってしまったり‥‥。
まぁ、そういうことなら蕾ちゃんのやつもわからなくもない‥‥いや、本とかゲームとかは凄く小さい暇潰しのようなものだけど、蕾ちゃんのはもはや仕事だからね。
「まぁ、蕾ちゃんの場合は別に熱っぽくはないから、動いても大丈夫だろうけど‥‥でも、やっぱり朝のことを考えると安静にしておいてほしいんだよ」
「お姉ちゃんは師匠の母親みたいな感じですね」
「なんかそれ複雑なんですが‥‥」
同い年だし、しかも蕾ちゃんから教えてもらったり励ましてもらったりしてるときもあるからね。
「じゃあ、奈留お姉ちゃん。 師匠が待ってるでしょうし、早くお料理作って、持っていきましょうか」
「そ、そうだね」
そして、私達は料理を完成させ、蕾ちゃんの部屋に持っていくのだった。
◇◆◇◆◇◆
「やっぱり美味しいでござるなぁ~。 うん、奈留ちゃんは一家に一人ほしい‥‥」
「私は一人しかいないよ。 それと小乃羽ちゃんも一緒に作ったんだからね」
「そうでした、ありがとう小乃羽ちゃん。 美味しかったでござるよ」
「いえいえ」
ほめられた小乃羽ちゃんは凄く嬉しそうだった。
「蕾ちゃん、体調はどう?」
「明日には学校に行けるくらい回復したでござるよ」
それならよかったけど、結局熱でもなかったし、なんだったんだろ‥‥まぁ、元気になったしいいんだけどね。
「今度から、しんどくなったらいつでも頼っていいから、あまり秘密にはしないでね」
「あはは‥‥」
蕾ちゃんは否定も肯定もせず、少し困ったように笑っていた。
やっぱり、迷惑をかけたくないという思いが強いのかもしれないな‥‥。




