22 お化け屋敷の中は
「暗いでござ──ぎゃぁぁ!? 怖いでござ──ぎゃぁぁああ!!」
「師匠───!!」
お化け屋敷に入ってすぐ、別に驚かせる仕掛けのようなものは何もないのだが、壁や天井などの雰囲気作りのために付いている模様や物だけで蕾ちゃんは驚きまくっていた。
作った人にとってはとても喜ばしいことだと思うけど、流石にそれだと出口まで時間がかかりすぎちゃうよ‥‥。
というか、本当に驚く仕掛けがきたら、また気絶しちゃうんじゃないかな?
蕾ちゃんと手を握っているが、その手はどんどん力強く握られる。
「蕾ちゃん、す、少し痛いかな? 手じゃなくて腕掴むことできる?」
「そっちの方がありがたいでござる‥‥」
そして、何だか蕾ちゃんとカップルのような感じになった。
お願いした私がいうのもなんだけど、こっちもこっちで少し痛いね‥‥。
「でも結構、怖い部類に入るんじゃないのか、これ?」
「本格的ですよね」
「やっぱりあまり怖くはないっぽいな、奈留は」
「あはは‥‥作り物と思うとどうしても怖がれないんですよ」
まぁ、怖くないのは本当の恐怖というものを通り魔の時に体験したからかもしれない。
あの時に自分の価値観などがガラッと変わってしまったので、たぶんお化け屋敷とかに恐怖心を感じなくなったのもそのせいだと、私は思っている。
「それは絶対に逆でござるよ‥‥人が人を怖がらせようとして作るものが一番怖いんでござる‥‥」
「確かに急に現れてドキッとしたりとかは怖いですもんね。 まぁ、あれはホラーが得意なのとはまた少し違う気がしますが‥‥」
前の蕾ちゃんの発明品を見せてもらったときに、透明化装置で小乃羽ちゃんがいきなり出てきたときは驚いたもんね。
確かにお化け屋敷というのはそっちの方かもしれないね。
でも、まぁ出てくる場所とかが何となくでも分かれば、驚かないだろうけど‥‥。
「じゃあ、進もうか」
「奈留お姉ちゃん、私も手を繋いでいいですか?」
「うん、大丈夫だよ」
小乃羽ちゃんも少し怖いのかな?
一応、お化け屋敷に行きたいって言ったのは小乃羽ちゃんだったような‥‥。
まぁ、頼られてるので悪い気は全くしないので、蕾ちゃん同様手を繋ぐ。
その後、いろんな仕掛けがあり、その度に二人に抱き付かれて、苦しかったりもしたが、無事にお化け屋敷を抜けることができた。
私は何となく出てくるタイミングがわかってしまったのと、二人が驚きすぎて、驚くことはなかった。
でも、一応お兄様の少し驚く顔が見れただけでも、お化け屋敷に来た甲斐があったかな♪




