21 入りましょう!
休憩している間、私達は次に行く場所を遊園地のマップを見ながら考えていた。
「何が行けるかな‥‥観覧車とか、結構いいんじゃないかな? 蕾ちゃん」
「あ、いいでござるな! 楽しそう!」
ゆったりしてるし、景色も見られて、今の蕾ちゃんには凄く合ってる乗り物だよね。
「お姉ちゃん、師匠! 私のお化け屋敷も忘れないでほしいのですが‥‥!」
「忘れてる訳じゃないよ小乃羽ちゃん。 だけど休憩を挟んでいるとはいえ、ジェットコースターの次がお化け屋敷だと身が持たないと思うんだ‥‥蕾ちゃんが」
確かこういうホラー系、蕾ちゃん駄目だったような気がするんだよね‥‥。
「師匠なら大丈夫ですよ!」
「小乃羽ちゃん、慕ってくれるのは素直に嬉しいでござるが、師匠も一応は人間なんだよ?」
自分で一応って言っちゃう辺りどうなんだろうとは思うが、流石に今回は続けては無しだね。
私は大丈夫なんだけど、蕾ちゃんがさっきみたいに気絶するかもしれないしね。
「まぁ、じゃあ次は観覧車に乗って‥‥そのつぎにお化け屋敷ということで‥‥三人ともいいか?」
「「はい!」」
小乃羽ちゃんと私は返事をし、蕾ちゃんは黙って頷いた。
その後、観覧車に乗り、景色を楽しんだ。
観覧車に乗っていたときに印象に残っていることは、蕾ちゃんが今日一番楽しそうにしていたこと‥‥かな?
◇◆◇◆◇◆
そして、小乃羽ちゃんがずいぶんと行きたがっていたお化け屋敷の前に来た。
本来なら、こういうお化け屋敷に来たら怖がってお兄様に抱きついたり! なんてことを考えたりするのだが、しかしお兄様に嘘は基本的にバレてしまう。
私はあまりこういうのが怖くないのだ。
お兄様もそれを知っていると思うし、そんな見え見えの嘘をついてまでお兄様と抱きつこうとは考えない‥‥考えただけで恥ずかしい‥‥。
「奈留、どうした?」
「い、いえ、特になにも‥‥。 それよりお兄様はお化け屋敷とか怖いのは得意でしたっけ?」
「いや、俺は得意でも不得意でもないな。 怖いときは怖いと思うが我慢は出来るからな。 奈留は得意だったよな」
あ、やっぱり知っていましたか‥‥。
「え、奈留ちゃん得意なんでござるか! じ、じゃあ怖くなったら抱き付いたりしても‥‥いい?」
「え、うん、いいけど‥‥。 じゃあ、初めから手を繋いでおこっか」
中に入ると暗いだろうから、出来るだけ近くにいる方がいいだろうし‥‥。
「順番回ってきたな。 そろそろ入るぞ」
そして、私達は真っ暗なお化け屋敷の中へと入っていった。
 




