7 明日のことで
「俺は勉強に殺されるんだー!」
「広葉。 そこ間違えてるぞ」
「俺の渾身の言葉をスルーしないであげて!?」
はぁ、お兄様はいつも冷静で素敵ですね。
っと、それよりも!
「お兄様、森田先輩。 夕御飯が出来ましたから、切りが良いところで食べていただけると嬉しいです」
「シャー! 陸! 休憩だ!」
「はぁ、仕方がない。 奈留、ありがとうな」
「いえいえ、当然のことですから」
お兄様は何でも出来てしまうので、私が代わりにできることなんて限られてますから、こういうところでしっかりしないと。
「陸ー! 俺もこんな妹がほしいよー!」
「まぁ、俺の自慢の妹だからな」
お兄様‥‥‥‥。
「奈留ー? どうした、顔赤いぞ?」
「い、いえ、何でもありません! それよりも私少し友人に明日のことで確認したいことがあるので、少し部屋に戻りますね!」
「あぁ、わかった」
あー! 危なかった‥‥! もう少しでうっかり考えていることが口から出そうでしたよ。
◇◆◇◆◇◆
お兄様から離れる口実で、あぁ言ったものの、連絡しないといけないのは本当なので、私は蕾ちゃんに電話を掛ける。
明日のこと詳しく決めておかないとね。
そして、電話が繋がる。
「もしもし、蕾ちゃん?」
『おー! 奈留ちゃん、どうしたでござるか? 陸さんがかっこよかったって話は前にも聞いたでござるが‥‥』
「そう! そうなんだよ! 今日もかっこよくて‥‥って! そういうことじゃなくて!」
危ない危ない、何だか話が脱線しそうだったよ‥‥いやまぁ、少しくらいならしてもいいとは思うのだけど、一応決めることは決めておかないと‥‥。
『あ、明日のことでござるな。 直で家に来てくれるとありがたいでござる』
「あぁ、いつも通りね」
まぁ、蕾ちゃんの家に行くんだからその方がいいんだろうけど‥‥基本自分から家に出ようとしないよね‥‥。
『時間はいつでもいいでござるよ。 寝てても対応してくれるでござろうから』
出来れば起きておいてもらえると助かるんだけどね。
「わかった。 じゃあ明日ね?」
『ござる!』
そう言って、蕾ちゃんは電話を切った。
‥‥ござるだけじゃどっちなのかわからないよ蕾ちゃん!
まぁ、たぶんオッケーってことだよね。
「あ、私も早くごはん食べないと!」
蕾ちゃんと話していたら、先程までのお兄様への感情も治まってきたしね。
ダイニングに戻ると、お兄様達が私が友人の連絡が終わるのを待ってらしたみたいで、まだ食事を始めていなかった。
こういう優しさもお兄様の良いところだけど、申し訳なかったな‥‥。




