4 苦手なひと
メロンパンも食べ終わり、何だかんだで遅刻することもなく学校に着いた。
靴を履き替えている最中にふと思ったことがあった。
「そういえば、蕾ちゃんと仲良くなってから、基本的に同じクラスだよね」
あまり深く考えたことはなかったが、何だが中学三年生になっても同じだと、意図してやっているんじゃないかと思わずにはいられないわけで。
「まぁ、先生をおど‥‥お願いすればどうとでも───」
「今、よくない言葉を言いかけなかったですか!?」
先生方にご迷惑をおかけするようなことは駄目だよ!
「あはは、冗談でござるよ。 別に私はなにもしないので奈留ちゃんが気にしなくても大丈夫でござる」
「蕾ちゃんは本当にやりそうだから怖いんだよね」
「どれだけ信用ないんでござるか私‥‥」
そんなたわいもない話を靴箱の前でいていたのだが───
「ちょっと退いてもらっていい?」
───それがいけなかった。
話をしていたせいで、邪魔をしてしまうとは‥‥。
「あ、ごめんなさい‥‥。 灘実さん」
私達は急いで靴箱の前を開けた。
灘実さんは履き替えた後、私たちを気にすることなく階段の方へ行った。
「いやー、相変わらず怖いでござるなー」
「あまり言うのはいけないことだとは思うけど‥‥怖いね。 でも蕾ちゃんは良い方だよ。 私、小学生の頃から嫌われてるんだよ‥‥」
「まぁ、私の方は別に話しかけても返してくれるでござるからなー。 しかし‥‥奈留ちゃんは見てわかるくらい毛嫌いされてるでござる」
「‥‥でも、理由がわからないんだよね」
先程いた人は、灘実由南さん。
友達は大勢いて、クラスにいるときは色んな人と話していることが多く、同級生にも後輩にも色んな人から慕われていたりする。
この人とは蕾ちゃん同様、ほとんど同じクラスになることが多いんだけど‥‥。
何故かはわからないが凄く嫌われてる。
特に何かしたわけではないと、自分では思ってるんだけど‥‥。
嫌われている理由がわからないから、改善のしようがないんだよね。
「まぁ、合わない人って一人二人はいるものでござる。 気にするなかれでござるよ~」
普段はふざけたりも多いけど、私が落ち込んだときには、蕾ちゃんは凄く励ましてくれる。
本当に蕾ちゃんは真面目で優しい性格なんだろうなぁと思う。
「ありがとう、蕾ちゃん!」
「あ、あまりそういう笑顔は向けないでほしい‥‥。 でも、どういたしましてでござる」
ふぅ、じゃあそろそろ教室行かないとね。
「じゃあ、行こっか」
「奈留ちゃん、眠いので保健室に‥‥」
もう! 寝てないから!
「ほら、教室行くよ!」
そうして、私は蕾ちゃんを引きずりながら教室へ向かった。




