3 秘密
蕾ちゃんと学校へ向かうと、たまにだが蕾ちゃんが寄り道をしようとするので、それを止めるのも私の役目だ。 というか、寄り道に見せかけて帰ろうとするからね‥‥。
「本当に何をそこまで熱心に作っているのやら‥‥」
「気になるでござるか? 気になるでござるか? 仕方がないので今度家に招待を───」
「結構な頻度で蕾ちゃんの家に行ってるけどね? どれだけ自分の発明品見せたいのさ‥‥というか、前に家に行った時に結構な量見せてもらったよ?」
「あんなのまだまだ序の口でござるよ♪」
あなたの家は夢を詰め込んだポケットか何かですか?
もう、不思議なドアとか出てきても、納得しちゃいそうだよ‥‥。
「あはは‥‥まぁ遊んでるのもいいけど、中学三年生になったし、進路とか‥‥は蕾ちゃんは問題ないか」
「奈留ちゃんと同じところに行くので、安心していいでござるよ~」
それは安心していいのかどうか‥‥まぁ、友達とは一緒に行きたいしね。
「‥‥あれ? 私、蕾ちゃんに志望校言ってたっけ?」
「言わなくてもわかるでござるよ。 結婚したいくらい大好きなお兄様と同じ所に一緒にっ───ムグッ!」
「蕾ちゃん!! こ、こんな場所で、なな何を!」
とっさに蕾ちゃんの口を手で押さえた。
全く‥‥流石に時と場所を考えてほしいものだが。
「プハッ! ‥‥別に陸さんいないし、問題ないでござるよ」
「そういう問題じゃないの!」
この事は知られるわけにはいかないんだから。
私だって思うことがいけないことっていうのはわかってる‥‥。
いくら兄が優しくても、幻滅されて、また昔みたいになるに決まってる。
兄に対して、家族としてではなく‥‥‥‥男の人として好きなんて‥‥。
「もう! 蕾ちゃんが気付いたから言っただけで、別に話題にしてくれっていうわけじゃないんだからね」
「二人だけなんだしいいと思ったでござるよ。 ‥‥申し訳ないでござる」
「あ、いや、私も強く言ってなかったし‥‥ごめんね」
別に誰か他の人にバレた訳でもないし、あの言葉だけ聞かれたとしてもわからないだろうし、あんなに言う必要はなかったな。
きっと、私が神経質になっているだけなのだろう。
「‥‥」
「つ、蕾ちゃん?」
ま、まさか、怒ってる? それなら私、もっとちゃんと謝って───
「奈留ちゃん! あそこの広場でメロンパン売ってるでござるよ! 今すぐ買いに行くでござる!」
「蕾ちゃん切り替え早くない!? というか、また寄り道しようとして‥‥」
まぁ、蕾ちゃんがあまり気にしないのならいいんですけどね。
その後、結局メロンパンは二人分買いました‥‥おいしい。




