42 成績
「中間テストの結果を渡すから、取りに来い」
この前の中間テストの結果をもう返してもらえるようだ。
先生のことだから、遅れて思い出したら渡すぐらいしそうだと思ったけど‥‥。
出席番号順に呼ばれていき、紙を渡してくる。
そういえば、よく学園小説とか漫画とかでは廊下とかに順位を貼り出されたりするけど、あんなの本当にあるのか疑問になるね。
「夕闇」
「はい!」
お、ようやく呼ばれた。
いつも順番が遅いからドキドキする時間が長いよ。
「頑張ったな」
「ど、どうも‥‥」
うわ、先生っぽいセリフ‥‥いや先生だけど。
たまに優しいときがあるから不思議だ。
「以上、解散」
先生が出ていったことにより、皆は席から立って、友達と成績の見せあいっこをしている。
私も由南ちゃんに聞いてみよう。
「由南ちゃん、どうだった~?」
「言わないわよ。 奈留の方がいいのはわかりきってるんだから」
「えー!」
はじめはしてくれていたんだが、最近は教えてくれるのを渋るようになった。
別に由南ちゃんも成績上位なんだから、はずかしがることないのに。
「じゃあ先に奈留から教えなさいよ」
「いつも通りの二位だよ。 数学でミスがあったみたい‥‥」
「‥‥相変わらずね」
どっちの意味の相変わらずだろう?
いつも通りというのは、私は一位をとったことがないからである。
それと私はミスが多い。
いやー勉強してもさすがにね‥‥。
「で、で、由南ちゃんは?」
私はぐいぐい由南ちゃんに迫っていく。
「‥‥もう! わかったわよ。 学年十七位よ。 ちょっと前より下がっちゃった」
いや私が言えることではないが、上位だと思うよ?
「この学校、なんだか勉強できる人多いし仕方ないよ」
一位の人とか天才すぎて、毎回一位だし。
「それ、自分のこと言ってる?」
「ごめんなさい」
部活が始まるまで、由南ちゃんは少し不機嫌だった。
◇◆◇◆◇◆
「そういえば、明日修学旅行に行くって言ってたわね。 ということは今日は準備でいないのか」
「そうみたいだね」
部活だけではなく、三年生全員いないので、コートが広く感じる。
夏が過ぎれば、三年生は引退なので、その予行練習だと思えばいいのかな。
少し寂しく感じるな。
「今日の練習どうしよっか?」
「由南ちゃん、プリントもらってなかったっけ? それに書いてあるんじゃないかな」
そこはまぁ部長だし、藍先輩とはいえきちんとしているだろう。
「いや、あのプリントには部長のここが面倒くさいというのが、まとめられて書かれていたわ」
「何故それを私達に渡したの!? あとあの人部長の仕事そんなにしてないでしょ!」
「期待なんて元々してないから、良いんだけど。 じゃあ乱打から始めますか」
そして、私達は同級生と下級生に指示を出していくのだった。
◇◆◇◆◇◆
小乃羽ちゃんと休憩中にお話をしていて、話題はまたしてもテストのことに。
「え!? 小乃羽ちゃん学年一位だったの?」
「は‥はい。 運が良かったんだと思いますが‥‥」
運で一位はとれないだろう。
小乃羽ちゃん頭良かったんだね。
いやーすごく驚いちゃったよ。
「いやいやそんなことないって。 スゴいね!」
「あ、ありがとうございます。 こうやって、御姉様にほめてもらえるなんて‥‥一位とったことより嬉しいです!」
「そこは一位の次ぐらいにしといた方が良いと思うよ!」
そこまでだと申し訳なさ過ぎるから!
あ、そういえば兄さん達はどうだったんだろ。
また、落ち着いたときに聞いてみようかな。