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434 転生して私達は‥‥

ラストです!



「いらっしゃいませ~」


 彼の声とともに、私はお客さんが来たことに気づく。

 いけないいけない、今は仕事中なんだから集中しないと。


 その後、私はお客さんの対応して、裏へと戻ってくる。


「珍しいね。 奈留なるさんがお客さんに気付かないなんて」


「ごめんねしんくん。 わざととかじゃなくて‥‥。 懐かしいものがあったからつい‥‥」


 そう言って、私は彼に一枚の写真を見せる。


「うわ、これ中学卒業した春の時の写真? 懐かしいなぁ」


「でしょ? だから見入っちゃったんだよね。 ごめんね?」


「それならいいよ。 僕も見たいし」


 そう言うと、彼は私の隣に座った。

 相変わらず、優しいところなんかは付き合いはじめの頃からずっと変わってない。




 そう、あの時からずいぶんと時間が経ち、私達は現在、二人でカフェを経営している。

 名前は二人で考えた結果、 aurora になった

 カフェをやりたいと思ったきっかけは言わずもがな、中学生の時によく通っていた蓮佳れんかさんとマスターのカフェだ。


 あれから今に至るまで、私はバリスタの勉強を、しんくんはパティシエの勉強をそれぞれ始めて、実際の仕事場で働いたり、色んな経緯で、現在こうして二人でお店を開いている。

 ‥‥お互い一緒にいたかったし、お店を開くことにはしんくんもすぐに賛成してくれた。


 でも、こうして実際に自分のお店を持ってみると、マスターの異常さが本当によくわかるね。

 よくアルバイトがいないときも、実質一人で回せてたものだよ‥‥。


「皆、仕事で忙しくて中々集まったり出来ないけど、お花見は毎年のようにあって集まるよね。 まぁ、この写真の一回目が一番記憶に残ってるけど」


「そうだね。 私は突然だったし余計に印象に残ってる」


「今年もやるんだよね?」


「そうなんじゃないかなぁ‥‥。 っと、しんくんそろそろ仕事しないと!」


 そして、私はその写真をしまう。


「ねぇ、奈留なるさん」


「どうしたの、しんくん?」


「そろそろさ、呼び方を変えたりしてみない?」


 呼び方を変える‥‥?

 それは一体どういう‥‥‥‥あっ!


「このお店にいるときだけ、偽名を使う的なこと!? 何それ楽しそう!」


「い、いやそういうことじゃなくて‥‥それも面白そうだけど。 何だか呼び方がいつまでも他人行儀じゃないかなって思ってさ」


 そ、そうだろうか‥‥。

 しんくん‥‥‥‥う~ん、まぁ確かに中学生の時から全く呼び方は変わってないよね‥‥。


「ま、まだいいんじゃないかな? 流石に急には恥ずかしいというかなんとういか‥‥」


「‥‥ごめんね、無理言っちゃって。 僕も今思えば、奈留なるさんを呼び捨てにしたりするのは少し気恥ずかしいし。 じゃあ仕事に戻ろうか」


「う、うん」


 私に気を使ってくれたのだろうか‥‥でも今思えばしんくんって呼び方が何だか一番しっくりくるんだよね。

 あ、今はしんくんの迷惑にならないように私も仕事をしなくては‥‥!




 後日、一度だけ呼び捨てにしてみたら、やっぱり似合わないねと顔を見合わせて笑ってしまう結果になった。




 ◇◆◇◆◇◆




奈留なるさん、新作作ったんだけど食べてみる?」


「うん、食べるー! あ、でもまだ作業が‥‥」


「今はお客さんはいないし、大丈夫だよ」


 まぁ、今の時間はあまりお客さんは来ないけど‥‥うん、少しくらいなら‥‥。



 しんくんの作るスイーツは美味しいと巷で話題になるほど、美味しいので、たまに来る祈実きさねさんやつぼみちゃんなどにとても好評だ。

 私のコーヒーは‥‥由南ゆなちゃんと兄さんは凄く美味しいと言ってくれるけど、どうなんだろうね。



 それはともかくとして、とても美味しいので新作は是非とも食べてみたい。


「そ、それなら一口‥‥あ、美味しい。 も、もう一口いいかな?」


「いいよ。 ‥‥よかった♪」


 モグモグ‥‥でも、私スイーツの味をみたり、そういうことは素人な訳だし、あまり試食しても意味がないような‥‥。

 ま、しんくんが喜んでくれているし、私も嬉しいからいいんだけどね。


しんくんありがとう。 大好きだよ♪」


 あ、しんくん照れてる、珍しい‥‥。


「き、急にその笑顔は反則だよ、奈留なるさん‥‥。 ぼ、僕も好きだよ」


「あ、ありがと‥‥」


 くっ、私も照れてしまった‥‥。

 でも、仕方ないよね。 うん。




「すみませ~ん」



 あ、お客さん来てたの気付かなかった!!

 すぐに仕事モードに切り替えて、私達は笑顔で言った。


「「いらっしゃいませ!」」









 前世で人付き合いが悪くて、人生に絶望していた私が、妹になって、そして優しい兄や友人に囲まれて‥‥そして恋人ができて‥‥その恋人と二人でお店をするようになって‥‥。


 前世では、考えれないようなことばかりだ。


 そうなったのは、きっと回りの人の優しさがほとんどの理由なような気がするし、私だって聞かれたらそう言うと思う。


 でも、強いて付け加えるとしたら、私は自分じゃない誰かになって、より一層自分以外の人の気持ちを考えるようになったことだと思う。

 兄さんと接してみて一番感じたことだ。

 妹はこういう苦労があってなどは、やはりなってみないとわからないものだったから。


 色んな事を知って、学んで、私は自分が成長できたんじゃないかと思う。

 こうなった当時は何だかんだで戻りたいと思ったときもあったが‥‥。






 今は本当に、妹になってよかったと‥‥心からそう思う。




奈留ちゃんと信くんの物語はこれで完結です!

ここまで見てくださった方々、本当にありがとうございます!


しかし! 書きたいことはまだあり、かわらず投稿したしますので、明日からまた全力で頑張ります!

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