430 皆でお花見
先程、いきなり由南ちゃんと蕾ちゃんが、この桜を見せるための手伝いをしていたのを知ったばかりだが、今現在は更にその先、何故か皆で花見をするということになった。
いや、楽しいだろうからいいんですけどね。
「それで、準備っていっても何をするの? 準備するための荷物とか何処かに置いてたり?」
「いや、事前に置いておくのは流石に不安だからないよ。 二人も大変だったみたいだし」
そっか‥‥そうだよね。 信くんは今日ずっと私といたし、由南ちゃんと蕾ちゃんは照明取り付け作業があったんだもんね。
‥‥って! それじゃあ先程までと同様に、立って桜を眺めることになるけど、いいんですか!?
準備しなくてもいいけどね!
「その為に、呼んでおいた人がいるのよ、奈留」
え、呼んでおいた人?
「おーい! 信くーん! 奈留ちゃーん! お待たせー!」
暗くて遠いが電灯の明かりなどで、祈実さんが手を振っているのが見える。
その祈実さんの手には荷物があり、何か持ってきているに違いない。
あれ? でも祈実さんって今日、兄さんと広葉と遊ぶってことになってたような‥‥。
そう考えていると祈実さんより少し奥に、荷物を押し付けあっている兄さんと広葉の姿が見えた。
一緒にちゃんといたんだね‥‥って押し付けあってるせいか全然近づいてこないんですが!?
そうしてる間に祈実さんはこちらに到着した。
「きさねぇ、ぴったりのタイミングだね」
「ほんと? それはよかったよ‥‥ここまで来るのに迷わないか心配で心配で。 ‥‥でも、皆でお花見なんてワクワクするね!」
祈実さんがそう話している間に、ようやく兄さんと広葉がこちらにきて、持っていた荷物を地面に置いた。
うわ~凄く重そう‥‥。
特に飲み物とか‥‥結構な量持ってきたんだね‥‥。
「流石に重かったね‥‥陸」
「あぁ、お前といる時間は苦痛でしかなかった」
「まさかの空気の方!?」
疲れてそうなのに相変わらずだね、二人とも。
でも、やっぱり疲れていたのか二人ともすぐに座り込んでいた。
「これで一応荷物は全部かしらね。 じゃあ早速広げていきましょうか」
「そうだね、手分けしてやっていこうか」
そうして私達はお花見の準備を始めた。
◇◆◇◆◇◆
その後、お花見は始まり、その時に私は信くんに今日のことを聞くことにした。
「ねぇ、信くん」
「どうかした? 奈留さん」
「兄さんのこととか、桜のこととか一体いつから準備してたの?」
兄さんが出掛けたのはきっと、ここに来るための準備とかだろうし、桜のライトアップについても、前日にお願いしても急には出来ないはずだし‥‥。
「それはね‥‥秘密ということで」
「えー」
教えてはくれなかったが、凄く時間をかけたんだなぁということは何となくだけどわかった。




